現在、AGA遺伝子検査は医療機関に行かなくてもアマゾンなどで遺伝子検査キットを購入して自宅で調べることが可能になっています。

ただ、この検査結果についてどこまで信憑性があるかどうかについてAGA専門医の間でも疑問視されています。

とはいえ、フィナステリドが有効かどうかについての判断の目安になるそうです。

AGA遺伝子検査の原理

男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼ(主に2型)の働きによって、DHT(ジヒドロテストステロン)に変わります。

このDHTが毛乳頭細胞にあるAR(アンドロゲンレセプターという男性ホルモンの受容体)に結合することで脱毛が開始されるのが「AGA」です。

AGAの発症しやすさは、5αリダクターゼの作用の強さやARの感受性の度合に左右されます。

現在の検査キットはARの感受性を調べて、判定いたします。

 

フィナステリドの効きやすさも判定できる

フィナステリドはⅡ型5αリダクターゼの働きを抑制する抗AGA薬です。

従って、ARの感受性が強く、AGAになりやすいという検査結果になった場合、フィナステリドによるAGA改善は期待でき、AGAになりにくいという検査結果になった場合はその逆ということになります。

この検査をやろうとする人は現時点、AGAではなくても将来、なりやすいかどうか、または

現時点起こっている薄毛がAGAによるものなのかなどを知るためだ

と思われますが、薄毛傾向であるにも拘らず、ARの感受性が低く、AGAになりにくいという判定結果が出た場合、フィナステリド以外の薬、例えばミノキシジルなどのほうが効果的である可能性があります。

 

AGA遺伝子検査の判定方法

ARのDNAという遺伝子の塩基配列を調べることでAGAの発症しやすさがわかります。生物の体はA(アデニン)、G(グアニン)、T(チミン)、C(シトシン)という4つの塩基で作られています。部位によって塩基の配列は異なります。

AGAの発症しやすさはARの塩基配列で「CAG」「GGC」が何回連続しているかで判断します。

この二つの塩基配列を加算した数が「38」より小さい数字であればAGAになりやすい、大きければなりにくいと判断します。

ここで、AGA遺伝子検査の話から横にそれますが、AGAを遺伝と捉えた場合、どのように親から子供に伝わるかを説明します。おそらく、この部分はAGAでなくても、色んな遺伝があるので、関心を持っておられる人は多いと予測します。

 

AGAはどのように親から子へ遺伝していくのか?

AGAは男性ホルモンの存在が原因です。ということはARの遺伝子は性染色体のX染色体上に存在しています。

染色体は対になっていますが、ご存知の人も多いと思いますが、XXは女性で、XYは男性となります。

子供は性染色体を父親と母親から一つずつもらいます。

要するに受精卵を構成している精子がXであれば、卵子Xと対になってXXで、生まれる子供は女の胎児です。Yの精子を持っていれば、卵子のXと対になってXYで、生まれる子供は男の胎児となります。

 

ここからが重要です。

父親が遺伝子検査の結果、正真正銘のAGAだとします。しかし、子供が「男」であった場合、父親のXを受け継ぐことはありません。父親のYと母親のXを受け継ぎます。このため生まれた男児は遺伝原因以外の薄毛になるかもしれませんが、遺伝性のAGAにはなりません。しかし、母親のXX遺伝子のどちらか一方のXにAGAの遺伝情報が隠れていた場合、AGAになる可能性があります。男児として生まれた場合、50%の確率でなります。

つまり、母親の遺伝子が決め手となるわけです。そのため、父親はAGAではなくても、母親の祖父がAGAであれば、その子供はAGAになりやすいと言われています。

とはいえ、遺伝が原因で薄毛、AGAになる確率は100%ではありません。大体、7~8割の確率と考えられています。母親の祖父がAGAだからといっても、ならない場合もあるということです。

そのような遺伝がわかったら、発症以前から、髪のケアを施すことで発症を予防したり、)遅らせたりすることが可能ですので、情報を収集して、未然に防ぎましょう。

 

AGA遺伝子検査をすることの意義

医療機関だけでなく、自分で検査キットを購入してできるため、医療機関で行う方が正確、あるいは自分でやっても同じ結果が出る等、色々な意見が飛び交っています。

どうも、それぞれの都合で言ってるよう思えます。特にAGA専門クリニックは「当院でやるとより正確」などと宣伝していますが、患者さんの試料を採取したら、外の検査会社に検査を発注するので、これに関しては各々の医療機関の独自性はないと考えることができます。

従って、医療機関に検査料に診察料が加算されて高額な費用を払うのであれば、自分で検査キットを購入してやる方が確実に安くてすみます。

ただ、医療機関を受診するメリットがあるとすれば、AGAや単なる薄毛以外の病的な薄毛の発見につながり、早期治療をうけることが可能になる場合がありますが……。

 

AGA遺伝子の結果は信じていいの?

これについては、下記のURLでの岩崎陽介医師の説明を直接引用させていただきます。

リピート数の合計が38以下であれば、アンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)の感受性が高いため禿げやすいとか、CAGリピートが長い(リピート数が多い)ほど、男性ホルモン(DHT)が受容体に結合することを防ぐなど、いろいろなことがもっともらしく言われていますが、果たして本当でしょうか?

結論から言うと、AGAのリスクとCAG+GGCリピート数の間には相関関係はありません。つまり、日本で行われているほとんどのAGA遺伝子検査の信憑性はありません。

もともとAR遺伝子は、前立腺がん、ニキビ、女性の多嚢胞性卵巣症候群など、男性ホルモンが関係している疾患で、いろいろ調べられてきました。その中で、1998年に報告された、48名の男性と60名の女性を対象にした小規模な試験で、AGA患者でCAGリピート数が少なかったと報告(※1)がされ、一気に検査が広まりました。しかし、その後の2012年に報告された、8つの研究のメタ解析では、2074名のAGA患者と1115名のコントロール(AGA患者ではない人)を比較した結果、CAGとGGCリピート数と、AGAリスクに関しての相関は認められず、否定されています(※2)。

※1.Sawaya ME and Shalita AR: Androgen receptor polymorphisms(CAG repeat lengths) in androgenetic alopecia, hirsutism andacne. J Cutan Med Surg 3: 9-15, 1998

※2.Zhuo FL, Xu W, Wang L, Wu Y, Xu ZL, Zhao JY. Androgen receptor gene polymorphisms and risk for androgenetic alopecia: a meta-analysis. Clin Exp Dermatol. 2012; 37: 104–111. doi: 10.1111/j.1365-2230.2011.04186.x. pmid:21981665」

参照URL http://agablog.tokyo/aga-life-style/457

 

フィナステリドとAGA遺伝子検査の関係性

下記のURLや他の資料を見ると、フィナステリドの効き方がこのAGA遺伝子検査の結果に反映していると掲載されています。

この記事の冒頭にもあるようにCAGという塩基配列のリピート数が多いほど、フィナステリドの効果は期待できないとなっています。

 

CAGのリピートの長短でフィナステリドによる効果が変わる理由

これも上述のURLで説明されていますが、リピートされる数が短ければ短いほどDHTの影響を受けやすく、フィナステリドが投与されると。

そのDHTは作られなくなるのでAGAの進行を食い止めることが可能となります。

ただ、リピートの数が多くても薄毛であった場合、フィナステリドを処方することは良くあるようです。

というか、日本においてはまだ効果があると認可されたAGA治療薬がまだまだ、少ないため仕方がないことかもしれません。

 

まとめ

結局、AGA遺伝子検査を活用するのであればフィナステリドをAGA治療に加えるかどうかの判定の時であって、それ以外は参考程度でいいかもしれません。

リピートの数が多いから安心というわけでも無さそうですから……。