現在、企業と大学などの研究施設がそれぞれの特性を活かし、知恵を出し合い、共同研究に勤しんでいます。毛髪の再生医療もその一つです。

これまでにも、いくつかのAGA治療薬が認可され、良質な育毛剤の開発もされてきました。
しかしながら、本人の発毛能力が影響するAGAでは所詮は限界があり、はっきりと「効果あり」とするにはまだまだほど遠いものがあります。

しかし、この限界を超え、「効果あり」以上に「著効」を手に入れられるかも?という期待を感じさせてくれる薄毛改善の研究開発がこの日本にもいくつかあるという事実に、私たちは明るい未来を確信したくて仕方ありません。

その事実の一つに、資生堂の毛髪再生医療技術の研究開発があります。

そこで、育毛剤育毛シャンプーを中心に髪について取り扱うヘアケアセイジでも毛髪の再生医療についてとりあげています。

掲載記事:「AGAは解決する!? 資生堂がカナダの企業と共に新しい再生医療に挑む

 

この資生堂に続いて、日本を代表する大会社である京セラが日本の研究機関と共同して、毛髪の再生医療の研究開発をしています。

まずは、資生堂ですが、日本では東京医科大学や東邦大学医学部と技術を連携させ、2018年の毛髪再生医療の開始を予定しています。

それぞれの得意分野を持ち寄っての研究成果内容をわかりやすくお伝えしようと思います。

そのあと、京セラと国立研究開発法人理化学研究所の共同解発との比較を検討してみましょう。

資生堂と大学病院との連携

細胞の培養は資生堂が担当

資生堂は、世界最先端の技術でありながら安全性も高いといわれるカナダのレプリセル社の毛髪再生医療技術を導入しました。

脱毛症の患者さんの後頭部の頭皮から毛球部毛根鞘細胞を採取し、培養を行います。

その後、培養された細胞を患者さんの脱毛部位に戻すことで、ダメージを受けた毛包を再び活動させ、毛髪の正常な髪の毛の成長を促進させます(自家細胞移植技術)

細胞を体の外で培養しますので、少量の細胞があれば必要な細胞を大量に産みだすことが可能です。このため、患者さんから切除する頭皮も非常に小さくて(5mm)、患者さんの負担も少なくなります。

頭皮の切除、並びに、培養した後の細胞の移植は医療行為となるため、医師が行なう必要があります。

こちらは東京医科大学や東邦大学の医師たちが担当することになっています。

毛球部毛根鞘細胞:発毛に欠かすことができない毛乳頭細胞の源

話が元に戻りますが、細胞培養に使用する頭皮は、なぜ後頭部なのでしょうか?

後頭部には男性ホルモンの受容体がなく、AGA誘因物質であるDHTが受容体に結合できないために非常にハゲにくい部位と考えられているからです。

 

再生医療を行うのは専門医たち

脱毛症の患者さん(被験者)の後頭部の頭皮を切除し、資生堂に渡します。

資生堂によって細胞(毛球部毛根鞘細胞)の培養処理、品質検査終了後、細胞は医師のところに戻され持ち主である患者さんの脱毛部位に移植します。

参照URL・プレスリリース東京医科大学「毛髪再生医療の確立へ向けた臨床研究を開始」
http://www.tokyo-med.ac.jp/160627hihupress.pdf

参照URL:HUFFPOST「毛髪再生医療に資生堂が参入、カナダのレプリセルと技術提携」
http://www.huffingtonpost.jp/2013/05/30/shiseido_n_3357795.html

参照URL:資生堂、毛髪再生医療の本格研究に着手 カナダのバイオベンチャー企業〝レプリセル社〟と技術提携契約について基本合意」
http://www.shiseidogroup.jp/releimg/2159-j.pdf

次は、京セラと理研の技術提携による毛髪再生医療です。施術方法は資生堂と大して変わりませんが、一番大きな違いは使用する細胞の種類が異なります。

 

京セラと理研の技術提携で「毛包器官再生医療」

脱毛症の患者さんの頭皮(後頭部)から頭皮の組織を小さく採取し、組織片から上皮性幹細胞と間葉性幹細胞を取り出し培養します。

理研は、マウスの体毛の毛包から毛根よりも頭皮に近いところにあるバルジ領域に存在する上皮性幹細胞と間葉性幹細胞である毛乳頭細胞を分離し、毛包原基再生医療の技術を開発しました。

毛包原基:毛包の種、あるいは、源のようなもの。

再生された毛包原基を毛のないマウスに移植すると、毛包が再生され、そこから毛が生えることを実証しました。

再生された毛包原基の移植によってできた毛包器官は神経につながり、そこから発毛した毛も正常な毛と同じようなヘアサイクルを繰り返すことも確認できています。

理研の細胞を培養して移植する技術の提供を受け、京セラは2018年までに毛髪再生医療で使用する培養細胞の大量生産を可能にする技術の開発を確立したいと発表しています。

そして2020年の実用化をめざしています。

参照URL:ニュースリリース「再生医療「毛包器官再生による脱毛症の治療」に関する共同研究の開始について」
http://www.kyocera.co.jp/news/2016/0703_kogi.html

参照URL:ケータイwatch「京セラが再生医療に参入へ~新技術でみんなフサフサ?理研と男性の薄毛を再生医療で治療する共同研究」
http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1009921.html

 

髪の色も自由に操れる?

培養する細胞の一つである上皮性幹細胞は、バルジ領域に存在しています。

このバルジ領域には髪の毛を黒くするメラノサイトの源となる色素性幹細胞があります。

そのため、理研の技術は髪の色の制御などにも関与できるのではと考えられています。

 

京セラと資生堂はどっちが効果的?

京セラは2020年、資生堂は2018年に実用化ということで、はっきりとはわからない部分もあります。

しかし、AGA専門医がある程度の予測をしておられ、そのことをサイトでとりあげておられます。一部、 引用させていただきます。

「資生堂の毛球部毛根鞘細胞を用いた治療は、レプリセル社で過去に治験が行われています。毛髪密度が5%以上増加した被験者は16名中10名、約63%の患者で改善が認められたと言う結果になっています。統計的に有意ですが、100%ではないですし、効果も「5%以上の毛髪密度増加」というのは、私としては若干期待外れに思ってしまいます。やはり毛球部毛根鞘細胞だけの移植では、毛包を完全に再生させるのに不十分なのかもしれません。また、改善したとしてその後どれくらい維持できるのかは、今後の資生堂の治験を待たなければならないと思います。」

引用先:医師が本気で考えるAGA治療・脱毛症治療「資生堂と京セラの毛髪再生医療について」
https://agablog.tokyo/growth-factor/730

一方、京セラのやり方で施行した毛のないマウスに、3週間で124本/cm²の毛が生えたそうです。


前出のAGA専門医の方は、人の頭髪密度は150~300本ということを考えれば、合格点と書いておられます。
このように、人間ではなくマウスでの実験ですが、相当量の発毛を実現できたことから人間の髪の毛の再生も期待できるということのようです。

AGA専門医の視点から(個人的にと書いておられますが)見ると、京セラの再生治療のほうに期待されておられます。

本で一番効果があるといわれるフィナステリドやミノキシジルは使用を中止すると、再び、薄毛が始まります。

AGA専門医の方が言われるように、京セラや資生堂の再生医療が安全に持続できるようになれば、一生、薄毛に悩まされることはなくなるかもしれません。

参照URL: 医師が本気で考えるAGA治療・脱毛症治療「資生堂と京セラの毛髪再生医療について」
https://agablog.tokyo/growth-factor/730

 

毛髪再生医療の副作用はある?

外で培養した細胞がガン化する可能性を考えなくてはいけないのですが、京セラも資生堂も自分の細胞を使用する治療法なので危険性は高くないとのことです。
しかし、こればかりは、始まってみないとわかりません。

また、今までの自家植毛と比べて侵襲性が少ないとはいうものの、頭皮を切除するわけですから感染の可能性、あるいは、その時に使用する注射液や薬剤によるアレルギー反応などを考慮して施行しなければいけないかもしれませんね。

ただ、培養後に細胞を頭皮に戻すにしても元々は自分のものであるため、拒絶反応の心配はあまりないと考えます。

 

まとめ

最先端の医療技術である再生医療を応用した脱毛症の治療について、以下の観点から調査しました。

ポイント
  • 資生堂と東京医科大学などの連携で行う自家細胞移植技術
  • 京セラと理研の連携で行う毛包器官再生医療
  • 京セラと資生堂、どっちが効果的?
  • 毛髪再生医療の副作用について

 

現在の治療では、どんなに良い薬を使用していても、使用を中止すれば薄毛が再び始まります。

そのため、いつまでAGA治療を続けるべきかがしばしば問題になります。

しかし、京セラや資生堂が他の研究機関と行う毛髪再生医療であれば、そのような問題点を考える必要がなくなります。

まずは、資生堂の再生医療が先に実用化される予定になっていますので、楽しみにしていましょう。