

レバーは肝臓のことであり魚介類では胆と呼ばれます。
食材として陳列に並ぶものは、牛、豚、鶏がメジャーですが、合鴨に大量の餌を与えて鴨の脂肪過多になった肝臓であるフォアグラやアンコウの胆など高級な食材もありますし、フグやカワハギの胆と呼ばれる食材も魚のレバー、すなわち、肝臓のことです。
肝臓は人の内臓の中で最大と言われており、人に限らず動物でも魚でも、体を維持する上で重要な働きをする内臓であり、消化器から吸収された栄養素をエネルギーや体内で必要な物質に変換し、蓄えたり必要とする体の部位に供給したりすることで、代謝活動をサポートする働きをしています。
また、体内に溜まった毒素を体外に排出するための解毒作用も担っていますので、何らかの障害によって肝機能が低下すると、必要な物質を十分につくり出せない上に、毒素が体内に蓄積され、体の各所に影響を及ぼすことになります。
ちなみに、人体図を見ると肺の方が大きいように思われますが、空気を含んだ状態の肺は肝臓よりも大きいですが、体外に取り出して萎んだ状態では肝臓の方が大きいということだそうです。





目次
レバーに含まれるビタミンB群と亜鉛が髪の毛を育てる!
通常の食卓に並ぶレバーと言えば、牛、豚、鶏の3種類かと思いますが、どのレバーも水分が70%前後、たんぱく質が20%前後と、ほとんどが水分とタンパク質でできていますが、種類によって微妙に成分の違いがあるようです。
皆さんよくご存じのように、体中に酸素を運ぶヘモグロビンを構成するミネラルである鉄分が豊富に含まれており、遺伝子の合成に関与する葉酸とともに、貧血気味の方に薦められる食材の一つがレバーです。
一方、肝臓は、体の中の代謝機能を維持するために必要な栄養素を製造し、細胞や組織に供給するという体の中の工場のような存在であり、製造を制御するのが酵素と呼ばれるたんぱく質です。
そして、酵素が効率的に働くためには、ビタミン・ミネラルといった補因子と呼ばれる成分も必要です。
言い換えるならば、動物由来のレバーや魚介の胆には、代謝に必要なビタミン・ミネラルも豊富に含まれているというわけです。
レバーに含まれる代謝に関わるビタミン・ミネラル(生レバー100g当たり) | ||||
効果 | 牛レバー | 豚レバー | 鶏レバー | |
ビタミンB1 | 糖分・脂質の代謝 | 0.22mg | 0.34mg | 0.38mg |
ビタミンB2 | 脂質の代謝 | 3.00mg | 3.60mg | 1.80mg |
ナイアシン | 糖質・脂質・たんぱく質の代謝 | 13.5mg | 14.0mg | 4.5mg |
パントテン酸 | 糖質・脂質・たんぱく質の代謝 | 6.40mg | 7.19mg | 10.10mg |
ビタミンB6 | アミノ酸生成 | 0.89mg | 0.57mg | 0.65mg |
ビオチン | コラーゲン・セラミドの合成 | 76.1μg | 79.6μg | 232.4μg |
葉酸 | 赤血球内のDNA合成 | 1000μg | 810μg | 1300μg |
ビタミンB12 | DNA合成・脂質合成 | 52.8μg | 25.2μg | 44.4μg |
亜鉛 | 細胞分裂の促進 | 3.8mg | 6.9mg | 3.3mg |
鉄 | 酸素の運搬 | 4.0mg | 13.0mg | 9.0mg |
参照元:文部科学省 食品成分データベース (食品成分名に「ればー」と平仮名で入力し検索した後、表示成分選択で見たい成分を選び「結果を表示」をクリックすることで成分を見ることができます)
育毛に大切なビタミンBとは?
牛、豚、鶏のどれをとっても、レバーはビタミンB群は非常に多い食材ですが、ビタミンB群については、バランスよくありとあらゆるビタミンB群のビタミンが含まれている食品と言うことができます。
ビタミンB群は、食事で摂られる三大栄養素である炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質の分解・合成・代謝に関与する酵素の働きを助ける栄養素であり、たんぱく質を分解してアミノ酸の合成を促すビタミンB6やコラーゲン・セラミドの合成に関係するビオチン、さらには、脂質の分解に関与するビタミンB2 は育毛において重要なビタミンと考えられているようです。
もちろん、髪の毛を育むためにはエネルギーも必要ですので、すべてのビタミンB群は育毛に関係しており、ビタミンB群がバランスよく配合されていることが大切であるということは言うまでもありません。
亜鉛は細胞分裂を促進するミネラル!
貧血対策に有効と言われることの多い鉄分は、少し期待外れで、海水由来のミネラルを豊富に含む海藻類を含む魚介類の方が圧倒的に多くなっており、鉄分だけを考えると貧血対策としては期待外れになる可能性もあるかもしれません。
ただし、遺伝子の合成で細胞分裂を促進することにつながる葉酸は、種類に関係なく、レバーに豊富に含まれており、「貧血対策にレバーが良い」という理由は鉄分補給というよりも葉酸由来ということになるのかもしれません。
話がそれましたが、鉄分に関しては海藻などに比べて見劣りするレバーではありますが、亜鉛の量はというと最も多い豚のレバーで21位ということですので、亜鉛の供給源としては豚レバーはおススメです。
亜鉛は精力剤にも配合される成分であり、遺伝子の合成に関与して細胞分裂を促進する酵素の活性化に関与するミネラルであり、活発な細胞分裂を必要とされる毛母細胞において重要なミネラルと言えます。
とはいえ、亜鉛も牡蠣と比べるとかなり少なくなっていますが、ビタミンB群はレバーの方が勝っていますので、総合力ではレバーに軍配が上がると考えられます。





レバー大好きという人に忠告!!
レバーがもともと大好きで「育毛に良いならどんどん食べよう」という人は、ビタミンAの多いレバーは食べ過ぎに注意する必要があります。
ビタミンAは皮膚や粘膜を保護する働きのあるビタミンであり、頭皮のケアという観点からは適量であれば育毛にも有効であると考えられますが、1日の摂取目安量の上限値は2,700μgと言われています。
100gの豚の生レバーに含まれるビタミンAは13,000μg、鶏の生レバーでは14,000μg、牛の生レバーは一桁少なく1,100μgということですので、豚や鶏のレバーならば20gも食べれば十分という計算になります。
実際には、店では生レバーを出せなくなっており、熱に弱いビタミンAは調理の段階でかなり減少してはいると思いますが、レバニラ炒めのように他のビタミンAが多い食材と食べることが多いという点ではビタミンAの過剰症については知識を持っておいた方が良いと思われます。
急性の中毒症状:腹痛、吐き気や嘔吐、めまい
慢性の中毒症状:関節痛、皮膚の乾燥、脱毛、食欲不振による体重減少などの症状が現れることもありますし、さらにひどい場合には、肝脾腫(肝臓と脾臓の肥大化)、脳圧が上がることによる頭痛や視力低下が起こることもあるそうです。
ビタミンAの摂取については、他の食材との兼ね合いや加熱処理、あるいは、油を使うかどうかなど、ビタミンA量そのものを把握することは難しいと考えられますので、急性中毒症状が気になるときには病院を受診することをおススメします
レバーが育毛によい理由についての総括
牛、豚、鶏に限らず、レバーはタンパク質が豊富な食材であり、食事で摂られる三大栄養をの代謝に関与し人の生命維持に必要な栄養素を細胞や組織に供給することするために重要な働きをするビタミンB群をバランスよく含む食材です。
また、細胞分裂に欠かすことのできない亜鉛や体中に酸素を運ぶ働きのある鉄分も、それなりに含まれている食材でもあります。
一つ一つの栄養素を見ていくとレバーよりも優れている食材はありますが、育毛という観点から総合的に考えた場合には、レバーは優れた食材いうであると考えられます。
ただし、ビタミンAが突出して豊富な食材でもあることから、育毛に良いからといって妄信的に食べてビタミンAの過剰摂取が起こらないように注意する必要があります。
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