つい最近のテレビ番組の街頭インタビューで大変、興味深い発現がありました。

レポーターと小学生の会話です。

レポーター「お笑い芸人の中で、近い将来、ダメになりそうな人は誰だと思いますか?」

小学生「トレンディエンジェルの斎藤さん」

リポーター「斎藤さん?! それは何故ですか?」

小学生「斎藤さんの取り柄はハゲしかないから」

 

「ハゲは取り柄なの?!」

一瞬、耳を疑いました。でも、よく考えると、すごい明るい話だと思いませんか?

おそらく、他の小学生も同じ答えかもしれません。

この小学生たちが大人になった頃はもしかするとハゲに対する偏見が減っているかもしれないと感じたのですが、みなさんはどのように思われますか?

このように未来はハゲていることなど気にならないときがくるかもしれませんが、今はまだまだそんな時代ではないことはどんどん育毛剤が新しく生まれていること、それは育毛剤を必要としている人が溢れるほどたくさんいるからということになります。

溢れるほど存在する育毛剤の中で、「育毛剤の併用」を試みる人も随分いることがこれらのネットの中でもよくわかります。

今回は、その育毛剤の併用について考えていきたいと思います。

考えるとは申しましたが、薬剤師の立場としては「育毛剤の併用はお勧めできないと先に、申し上げておきます。

育毛剤の併用をお勧めできない理由

育毛剤の中で唯一、第一類医薬品であるために購入時、薬剤師との面前指導が必要とされるリアップという育毛剤があります。

この育毛剤のパッケージの裏には「本剤を使用の場合は他の育毛剤との併用は避け、他の育毛剤を使用の場合には、本剤を使用しないように」という注意書きがあります。

何故、併用に関してこのような注意書きが、わざわざ掲載されているのでしょうか?

考えられることは大きく二つあります。

一つは「併用によって発生した副作用に対する制度の適用にならない」、二つ目は「予期できない副作用の抑制」です。

では、リアップを用いて、法律側からみた併用注意を解説いたします。

 

併用によって発生した副作用は医薬品副作用被害救済制度の対象にならない

厚生労働省が認可した医薬品に対して、厚生労働省は副作用などの発生に対して法的手段で、患者を守ろうとしています。

それが、医薬品副作用被害救済制度です。

そこで。大正製薬の学術課の方にお聞きしました。

「もし、リアップとネットなどで販売されている育毛剤との併用によって、何だかの副作用が発生した場合、医薬品副作用被害救済制度の利用はどうなりますか?」

担当者「医薬品副作用被害救済制度といっても、ちょっと発赤した、痒み程度が出た程度ではこの制度の活用はないと思われますが……」

「確かにそうだとは思いますが、以前、カネボウから販売された石けん「茶のしずく」による副差表などは重篤な副作用で社会問題に発展したことなどを考えると、どんな医薬品,医薬部外品、化粧品においても、万が一を考えておいた方が良いと思われます。」

担当者「それはそうですね。」

「大正製薬は、他の育毛剤とは併用しないようにとリップのパッケージや説明文書、また、ネットでもそのような記事を出されています。従って、説明文書に書かれてある用法用量からはずれた使い方、または併用しないようにという警告無視した使用法であれば、当然「適用外」の使用となりますよね?」

担当者「はい。だから、「適用外」の使用ということであれば、当然、医薬品副作用被害救済制度を活用することはできません。

というご返事でした。

医薬部外品や化粧品にも、医薬部外品副作用報告制度・化粧品報告制度といった同様の制度があります。

現在市場に出回っている医薬部外品や化粧品の育毛剤を全て確認したわけではないのではっきりと申し上げられませんが、「併用可」という但し書きがされた育毛剤が存在するのであれば、これらの事情は少しずつ変わってくるとは思います。

 

※化粧も併用方法?

この併用ということについて細かく言えば、「化粧」も併用による使用になると考えられるかもしれません。

例えば、下地クリームを数種類、乳液を数種類…このような化粧をする人は珍しくありません。

となると、化粧品の育毛剤も存在することから、育毛剤を数種、併用するのはそんなにおかしいことではない?ということになりそうですが……。

これについては次の「予測できない副作用の抑制のために育毛剤の併用は避ける」というカテゴリーで考えていきたいと思います。

予測できない副作用の抑制のために育毛剤の併用は避ける

以下は、あくまでも私見であると考えていただければと思います。

顔につける化粧品はおそらく、併用を前提の上で製造されていると思われます。下地クリーム、乳液、シミ抜きクリームを塗ったりしてファンデーションなどで仕上げていきます。

しかし、育毛剤は併用前提ではなく、単剤の使用ということで成分の配合がされていると思われます。

また、顔と頭皮は同じ皮膚であっても、その状況が異なってきます。

たとえば、頭皮は顔以上に毛穴の数が非常に多く、毛穴からの皮脂の分泌も顔に比べて、かなり多いはずです。

そのため、育毛剤には皮脂を除去するためにアルコール分、皮脂除去の性質もつ成分を顔に使用する化粧品以上に配合されています。

従って、違う育毛剤を二本も三本も使用することで、頭皮や毛髪の状況が従来と比べ、変わってくることでしょう。

市場に出ている育毛剤は数こそあれ、使用されている成分は似通っている成分が多くあります。

そのため、必要以上に過剰投与による副作用の出現、或いは単剤では効果が発揮できても、併用で効果が抹殺されることも考えなくてはいけません。

自分で考えたオリジナルな使用法に対して、育毛剤のメーカーは責任を負い切れません。

問い合わせた大正製薬の学術課の人も言われておられましたが、「自己責任の上で」ということが大前提での併用使用ということになります。

何故、育毛剤を併用しようと考えるのでしょうか?

それは単純明快です。

現在、世に出ている育毛剤に期待したほど効果が無いからです。

非常に高価な割にはシャープな効果を感じることができないことが原因でしょう。

だから、良いとこどりで併用すればはっきりと効果が出るのではないかと考え、併用されているのだと思うのです。

私もプロペシアの成分のフィナステリドやリアップの成分のミノキシジルを日本皮膚科学会のAGA診療ガイドライン№1だと度々、紹介してきました。

しかし、実際のところ、他の育毛成分よりは効果があるかもしれないけれど、際立って効果があるとも言えない、効果が無かった人もまた、多いと考えています。

皆さまに少しでも役に立つ情報を提供したいという思いとは裏腹に、切れ味の良い育毛剤がなかなか、登場しないもどかしさも感じています。

 

それは、育毛剤を使用する人も同じ思いでしょう。

たくさんの育毛剤が出ているけれど、結局はどれも同じという思いの人もたくさんおられると思います。

育毛剤の併用ではなくて生活習慣・食生活改善の併用で

はっきり言って、単剤で効果が出なかったから、併用したとしても目に見えて効果が出るとは考えられません。

現在の段階では、育毛剤の併用は無駄な行為という専門家のほうがきっと多いでしょう。

それよりも、育毛剤を使用しながら、生活習慣や食生活の改善(サプリメントなどでもOK)を試みる見るほうがより安全で効果があるにちがいありません。

ただ、毛髪医学も日進月歩以上の速さで色々なことが解明されています。今日わからなかったことが明日には何かがわかっているという期待があります。

よくわからぬ育毛剤の併用で頭皮や毛髪を傷めてしまうのではなく、これから先どんな治療法ができてもそれに応じられる健全な頭皮や毛髪を保っていくことも育毛術の一つだと私は考えています。