1999年6月3日からリアップが大正製薬から販売が開始されました。発売されて数カ月の間にリアップ使用者3名が亡くなられたというニュースは、AGA治療者のみならず、市販医薬品を使用する消費者を一気に不安に陥れました。

3人の年齢は50~60歳代で、1人のみ年齢が不明。3人とも心臓疾患でした。

臨床試験では心臓に関連した副作用は見られなかった。しかし……

リアップ発売後の市販調査で「動悸」や「胸痛」などを訴える消費者がいることがわかりました。販売前の臨床試験では胸痛や動悸はなかったとはいえ、海外での調査ではそのような症状の報告はあったようで、使用上の注意にそれらを書きとめるよう、厚生労働省も注意指導をしてきました。

また、日本だけでなく、海外でもミノキシジルをAGA治療薬として使用している間に、心筋梗塞を発症した例があります。

ただ、発症がミノキシジルに起因していると必ずしも言えないということのようです。

大正製薬がミノキシジルと心疾患の症状出現とは関係ないとする理由

リアップよりもかなり早く市販血なったアメリカのミノキシジル外用剤「ロゲイン」の市販調査の結果、疫学、統計学的に見て、心筋梗塞などの心疾患との関連性はないという評価をすでに得ています。

またロゲインのミノキシジルの濃度が2%と5%です。それに対して、副作用騒動があった時のリアップはまだ、1%しか販売されていませんでした。ロゲインよりも濃度が低いリアップにそのような重篤な副作用症状が出ることは考えにくいです。

ロゲインは1988年からAGA治療薬の外用剤として発売されています。リアップが市場に登場するまでに10年以上も実績を積んでいます。その実績を分析して、リアップが日本国内で販売されたわけです。

ミノキシジル成分の外用剤は世界で約90か国で販売されています。ということは人種差による臨床データの違いもない、あったとしても記載するほどのことでもないということだと思われます。

 

心筋梗塞はミノキシジルの薬効に反する

心筋梗塞は心臓に栄養を送る3本の冠状動脈に血栓ができたり、血管の内腔が狭くなって閉じたりして、その先への血流が途絶えるたため、心筋が壊死する病気です。

ミノキシジルは内服の場合、血管拡張剤として高血圧の治療に使用されます。日本はミノキシジル内服薬で高血圧の治療を行うことは承認されていませんが、アメリカでは承認されています。

リアップの使用で亡くなられた方の死亡原因は、心筋梗塞などの心疾患が原因とのことです。ミノキシジルの血管拡張作用と心筋梗塞の病理は真逆です。

次にミノキシジル外用剤が頭皮の中に入っていく、経皮吸収と言うのですが、経皮吸収率がわずか1%という低さです。

また、ミノキシジルの平均血中濃度は、血圧に影響を与えると言われる濃度よりもはるかに低いという報告ですし、このことについては厚生労働省も認識しているはずです。

だから、リアップの販売が許可されたと言うことになります。

それでも、市場に出回った後で予期せぬことというものは起こりやすいもので、ミノキシジルは循環器系に影響を与える薬として使用上の注意を呼び掛けているわけです。

参考URL: 厚生省発表「ミノキシジルの安全使用の徹底について」に関するコメント

 

AGAの患者さんが多い世代は生活習慣病に罹患している

AGAは早ければ、思春期の頃から発症している人もいます。しかし、AGAは早ければ、思春期の頃から発症している人もいます。しかし、AGAに悩む人は40歳以降に圧倒的、多くみられます。

40歳以降は動脈硬化やメタボリックシンドロームなどが昂じて糖尿病、高血圧、狭心症などといった生活習慣病にかかりやすくなっているか、すでになっている人が少なくありません。

従って、AGAと心臓疾患を併発している人も少なくありません。また、自分がそのような病気になりかけているとは知らずに日常を過ごしている人も少なく無いでしょう。健康体と思っている人が薬局で薬剤師の説明や質問に「どこも悪くない」と答えてリアップを購入しようとすることもあります。

 

そしてリアップ使用中に心筋梗塞を起こした場合、もしかすると、リアップを使用していなくても心筋梗塞を起こしたのかもしれません。リアップはたまたまの偶然の産物だったといえなくもありません。

リアップの成分が血管拡張剤という偶然性もあるでしょう。リアップの成分が高血圧治療薬ではなく別の治療薬であって、それを使用中に心筋梗塞になったのであれば、おそらくリアップと心筋梗塞の因果関係はなく、自分の心臓の異常で心筋梗塞になったと誰もが思います。

おそらく、大正製薬やロゲインのファイザー社も亡くなられた方の心疾患とミノキシジルは関連性はなく、心疾患はその方の心臓の異常によるものと考えています。

厚生労働省も同じだと思います。でなければ、それから10年と長い年月を経ていますが、当初のリアップよりも5倍も濃い濃度のリアップX5を許可している訳ですから

 

公平な視点を持ちたい

ミノキシジルの副作用と発売当時の死亡例を何とか関連付けようとしているサイトが多いのに驚きです。筆者は大正製薬に肩入れしているつもりはありません。しかし、この15年以上も前のこの騒動を最近書かれたと思われるサイトに引っ張り出して書いていることにおかしさを覚えずにいられません。

調べてみると、当時の厚生労働省はリアップに対してこれからも注意、監視は必要としながらも、死亡例は「副作用の可能性は低い」と正式に発表しています。

そうでなければ、前述したように、ミノキシジル5%のリアップX5の発売が許可されるはずがありません。

 

ミノキシジルが怖い薬と言うだけでは何の意味もない

ミノキシジルの恐ろしさを伝えるために例の「リアップによる死亡説」を引き合いに出しているサイトが非常に多くあります。

読んでみると、恐ろしさばかりを全面に出し、何故、ミノキシジル製剤を厚生労働省が外用剤のみという限定付きではありますが、許可することになったのか、大正製薬はどういう経緯でリアップを製造したのかまでを掘り下げた上で書くべきだと思われます。

 

勧めたい育毛剤があるため?

執拗にミノキシジルをマイナスにもっていこうとするのは、勧めたい育毛剤があるため?と意地悪く考えてしまいます。

もう一つの国がAGA治療薬として認めている)フィナステリドもその傾向があります。フィナステリドについても同様です。正しく理解することは薬害を避けるだけでなく、効果的に使用できる道標になります。

 

薬局をもっと利用して

薬局をやりながらライターを兼業しています。当薬局にもリアップX5を置いています。市場に出回った同時から置いていたわけではありません。今までにもいくつかの育毛剤を取り扱ったことはありますが、CMに押されて買う人はいても現在のリアップX5のように「効果があった」と言われる方はあまりおられず、リピートがそんなにありませんでした。

だから、大正製薬のMRにリアップを勧められても半信半疑でスルーしていました。しかし、濃度が5%のリアップが出たとき、再度の強い押しに仕方なく置いたのですが、今度はリピートがあるのです。

ただ、ミノキシジルが血管拡張剤として高血圧の治療薬に使用されていることに神経を尖らせ、販売する時も客さんに異常なぐらいしつこく説明しました。

売り始めて、10年近くは経っています。髪の毛が増えた、あるいはあまり変化がないといった声はあっても、かぶれたとか、胸が苦しくなったなどと、副作用的な話をお客さんから聞いたことは一度もありません。

リアップ、しかも発売当時の1%で死亡例が3例も出たとは、本当にウソのような話です。

しかし、輸入育毛剤の5%以上の製品、ミノキシジルの内服薬を医師の監視下以外での使用は、重篤な副作用がおきても不思議はないと考えます。

店頭での販売で一度もクレームを経験したことがないので、筆者自身はリアップX5を自信もって販売しています。

 

実は、この製品は輸入育毛剤に比べるとかなり高価です。

そこで、買う買わないは別にして、店頭にいる薬剤師に育毛剤の相談をされることをお勧めいたします。商品は買わずに知識だけを持って帰ったとしても、「さて、輸入育毛剤に頼るべきかどうか」など、立ち止まって考えてくださるのであれば、薬剤師として本望です。

薬剤師は消費者に薬を売るだけでなく、知識、情報も提供する立ち場にいます。薬の購入の有無に関わらず、薬局を覗いてみてください。お待ちしています。