ポラリス、ご存知ですか?

AGAに関心がある方、薄毛、脱毛に悩んでいいる方はすでにご存じだと思います。

あのミノキシジルが現在発売されているミノキシジル含有の育毛剤の中で一番、多く含まれていることで話題にもなっています。

ポラリスについて

何と、ミノキシジルが16%! 日本のリアップは5%ですから、3倍以上のミノキシジルが含まれていることになります。

ポラリスは、アメリカのポラリスリサーチチラボラトリーズという会社が開発しています。ミノキシジルの配合濃度や補助剤を色々変えてシリーズ化しています。

そこに入っている薬剤も大物ばかりです。

あのミノキシジル(1%)とフィナステリド(0.05%)が入ったシャンプーから、ミノキシジルの配合濃度を5、7、12、15、16%と濃度を変え、それぞれにフィナステリドが含まれた物質やアゼライク酸をミノキシジルの濃度に合わせて配合しています。

アゼライク酸はアゼライン酸とも言われています。

アゼライク酸は穀物や酵母の中に存在して、薄毛の原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)を合成する5α還元酵素の働きを阻害すると考えられています。5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型がありますが、Ⅰ型の働きを抑制します。

フィナステリドはⅡ型に御働きを抑制します。ちなみに日本でも発売されたばかりのデュタステリド製剤「ザガーロカプセル」はⅠ型、Ⅱ型両方の働きを抑えます。

 

フィナステリドとミノキシジル併用は理論上、問題はない……

フィナステリド内服薬とミノキシジル外用薬は日本でも日本皮膚科学会が決めた推奨度A~Dランク間の最高Aランクに指定しています。

フィナステリドとミノキシジルの作用機序は全く違います。

 

フィナステリド

前立腺肥大症の治療薬として使用されていました。

フィナステリドは男性ホルモンであるテストステロンを薄毛、脱毛を促進させるDHTに変換させるⅡ型の5α還元酵素の働きを抑える作用をもっています。

また、フィナステリドによる5α還元酵素阻害は選択的なものであり、他のホルモのン代謝等への影響は極めて少ないと考えられています。

ただ、妊娠可能性ありの女性、妊婦,授乳中の女性は「禁忌」です。男子の胎児の外部生殖器が雌(♀)化する危険性があると示唆されています。

そのため、上記に該当する女性は、割れた、破砕したフィナステリドには絶対に触れない様にしなければいけません。

むき出しになった成分フィナステリドに触れ、そこから経皮吸収におよって体内に入った場合、吸収度合いの程度と生殖器の奇形の程度はまだ明らかにされていません。

 

しかし、たとえ経皮吸収であっても、フィナステリドが体内に入った場合、奇形の危険性を否定することはできないということが日本病院薬剤師会のインタビューフォームにも記載されています。

ただ、販売されているプロベシアはコーテイングされているので、破砕、分割さえしなければ、他の錠剤と同様に取り扱っても問題はないとも記載されているので日常的な取り扱いで大丈夫です。

参照文献

日薬理誌(Folia Pharmacol.Jpn)119  167~174[2002]

 

ミノキシジル

ミノキシジル外用剤は市販品(リアップ)で薬価収載医薬品ではないため、フィナステリドのようなインタビューフォームはありません。

とはいえ、日本皮膚科学会が推奨Aランクに認定していることもあって、ミノキシジルの情報はフィナステリド同様に充実しています。

高血圧治療内服薬のミノキシジルは、1960年頃開発されたジアリㇽメラミンという物質の関連化合物の中からとりわけ、降圧作用があったのがミノキシジルだったことから高血圧治療薬用になったという経緯があります。

ミノキシジルが代謝されると、ミノキシジルサルフェートという物質に変わります。このミノキシジルサルフェートに血圧を下げる作用があります。

アメリカのFDAは、ミノキシジル製剤「ロニテン」を1979年に経口高血圧治療薬として承認しました。現在でも、アメリカではロニテンを高血圧治療に使用しています。

薬剤抵抗性で難治性の重症患者さんの最終手段の高血圧治療薬とされています。

 

ミノキシジル単剤ではM字ハゲ、生え際のハゲには効果ない?

特に「ポラリス」をはじめとする育毛剤のサイトに「ミノキシジル単剤ではM字ハゲ、生え際のハゲには効果ない」と言う書きこみをよく見ます。

はっきりとした理由は書かれていませんが、5%のリアップと比較すれば、副作用問題は別にして、はるかにミノキシジルの濃度が高いポラリスのほうが効果が高いということは、単純に考えて理解できます。

 

大正製薬の本社に「M字型ハゲや生え際ハゲにミノキシジルでは効果がないといわれているが」と、問い合わせてみました。

担当者は「そのようなことはありません。発売後の市販後調査においても、副作用なく、M字ハゲ、生え際生えにも効果があるというデータになっています」と。

では、「それを示す、閲覧用のデータ資料はあるか?」と尋ねました。内部資料などは持ち出し禁止で見せてもらえるはずなどないことはわかっていたので、わざわざ「閲覧用」と言ったのですが。

「そのようなM字ハゲなどと特定した調査データ資料は作っていませんが、市販後調査では効果ありということです」と、大正製薬担当者は答えました。

頭頂部や前頭部に対する大正製薬の調査データは公になっています。

おそらく、ポラリスをはじめとする育毛剤のネットで「ミノキシジルはM字ハゲや生え際ハゲには効果がない」と書いたライターの方は大正製薬の公のデータをみてM字ハゲ等の項目が無かったため、それらには効果がないとしたのでしょうか?

よくはわかりません。たしかに、フィナステリドとの併用で効果がアップすることは考えられます。ただ、フィナステリドを配合すると、女性のAGAには使用できません。

女性への適応はミノキシジル単剤です。

また、ミノキシジル単剤「リアップ」の先駆的製品であるアメリカの育毛剤「ロゲイン」も効果があると認めたからFDAが承認した訳です。

(現在のリアップX5はビタミンB6やEも配合していますが、ポラリスシリーズのようにミノキシジルにフィナステリドという配合に比べれば、非常にマイルドであるため、基本的

ミノキシジル単剤と判断できます)

 

ミノキシジルの発毛効果は血流促進効果だけではない

今でも発毛メカニズムについて不明な点が多いとされています。そのため、ミノキシジルがどのように発毛を齎すか分かっていない部分があります。

ミノキシジルの血管拡張作用は、発毛の司令塔がある毛乳頭への血流を増加させます。栄養や酸素が血流にのって毛母細胞まで運ばれ、毛の成長を促します。そのため、ミノキシジルの血管拡張作用は、発毛を促進すると考えられています。

ただ、ミノキシジルの発毛促進作用は、血流改善のみではないのではとも言われています。それはin vitro[試験管内]の毛組織器官培養試験において、ミノキシジルが毛を成長させる作用を見ることができるという試験結果があります。

このことは血流促進とは関係ないところでも、ミノキシジルが毛組織に直接関与するのではと考えられていて、現在、こちらの研究のほうがが重要で優先すべきだとも言われています。

 

その他にもミノキシジルは、毛組織に作用してプロスタグランジンE₂を合成を促進すると考えられています。このプロスタグランジE₂は人毛の育毛を促進するという報告もあります。

 

ミノキシジルの発毛作用機序は男性ホルモン減少とは無関係

ミノキシジルの発毛効果は、男性ホルモンの代謝によるものではありません。ここがフィナステリドとは大きく違う所です。

そのため、AGA以外、円形脱毛症、抗癌剤等による脱毛改善にも期待が寄せられています。また、女性のAGAにも使用が可能です。

最近の研究で、ミノキシジルは男性ホルモンを失活させる酵素を誘導するという報告もありますが、その報告の重要性はまだ、不確かなもので、現時点ではそれがミノキシジルの発毛メカニズムとなるとは到底考えられないとされています。

 

これらのことから言えること

ミノキシジルの発毛効果は確かにありますが、血管拡張、血流促進による増毛効果はミノキアイジルの発毛メカニズムの一部分ということになります。

これからの研究次第で新しい発毛作用が、あるいは逆に新たな副作用がでてくる可能性があります。

FDAがミノキシジルの内服を認めず、日本の厚生労働省が5%以下のミノキシジル濃度しか認めない理由は分かっていただけたのではと思います。

万が一、将来、ミノキシジルに現在と異なる作用が報告されたり、新たな副作用が発見されたとしても、現在、厚生労働省が許可した濃度範囲内であれば、修正可能という数字でもあるわけです。

従って、効き目ばかりに着目するのではなく、長期に使用するものでもあるので、安全性に重点をおこうとする厚生労働省の立場も理解できるというものです。

また、日本のAGA専門医の下でフィンなステリド、ミノキシジルの併用などを試みるのならまだしも、一般人が高濃度の「ミノキシジルを求め、何の検査もなしに、使用するということはどうしたものかと考えます。

いくら自己責任とはいえ、危険と警告されているものを入手するという行為におせっかい乍ら心配してしまいます。