




プロスカーもプロペシアもフィナステリドを有効成分とするメルク社が開発した医薬品ですが、プロスカーは用量5㎎で前立腺肥大症や前立腺がんを抑制する治療薬として認可されており、プロペシアは用量1㎎又は0.2㎎でAGAの治療薬として認可されています。
ただし、日本では、プロスカーは前立腺肥大症・前立腺がんの治療薬として未承認であり、プロペシアはMSD株式会社(旧、万有製薬株式会社)が2005年12月より承認を受けて製造販売している処方箋医薬品です。
すなわち、プロペシアは通常は医師の処方箋無しに購入することができない医薬品ということになりますが、海外で販売されていることもあり個人目的で個人輸入によって入手できる医薬品でもあります。
しかし、プロスカーは日本で未承認ですので、個人輸入で購入するしか入手手段はありません。
プロスカー | プロペシア | |
有効成分 | フィナステリド(5㎎) | フィナステリド(1㎎、0.2㎎) |
適用 | 前立腺肥大症、前立腺がん | AGA |
製造販売会社 | メルク社 | MSD株式会社、日本MSD合同会社 |
価格(28錠、4週間分) | 1,890円~7,430円 | 4,474円~17,600円 |
プロペシアの価格(2018年11月現在)はフィナステリドが1㎎のもののみを調べた個人輸入代行業者の範囲内でピックアップしたものです。






プロスカーをAGAに使っても良いのか?
プロスカーは日本未承認の前立腺肥大症の治療薬として1ヶ月分を個人輸入することは認められているわけですが、輸入したプロスカーをどのように使用するかは輸入した人にしかわかりません。
言い換えるならば、個人輸入代行業者を利用してプロスカーを購入するのに理由はいりませんので、購入したプロスカーをAGA治療のために使用すること自体は何ら問題無いと考えられます。
ただし、ここで注意するべきポイントは、プロスカーが前立腺肥大症の医薬品であって、フィナステリドはAGA治療薬のプロペシアの5倍量含まれているということです。
確かに、5倍量含まれていれば発毛効果も高くなるとは思いますが、濃度が5倍だからといって効果も5倍というわけではありませんし、逆に、副作用のリスクが高くなる方が怖いのではないかと考えられます。
というわけで、プロスカーをAGA治療目的で使用するという方は、ピルカッターを利用して4、5分割して使用しているという方がほとんどです。



AGA治療のためのフィナステリドの服用上限は1日、1㎎!?
プロスカーは1992年にアメリカで認可された前立腺肥大症の治療薬ということで、結構歴史のある医薬品ですが、日本でも前立腺肥大症による排尿障害に悩む人は50代で30%はいると言われているにもかかわらず未承認ということです。
日本は他国に比べて審査が厳しいと言われていますが、効果の割にはリスクが高いということんがネックになっているのではないかと考えられます。
一方、医師の管理下で利用する必要のある処方箋医薬品のプロペシアではフィナステリド量が1㎎と0.2㎎の2種類が用意されており、1日1錠で1日に1㎎摂取が上限とされています。
アメリカでもAGA治療を目的とする場合には必要以上の高濃度摂取はリスクを高めるだけであり、1㎎の低用量での使用とされていることを考えると、1㎎以上の摂取は好ましくは無いと考える方が妥当ではないかと思われます。
参照元:ウィッキペディア フィナステリド




フィナステリド濃度による効果と副作用の差
フィナステリドのAGAの抑制効果の中心となる酵素の阻害というのは、阻害する物質の量や活性が強くなればなるほど強く阻害しますので、量に応じて効果も副作用も大きくなることに間違いはありません。
しかしながら、効果と副作用は必ずしも有効成分の濃度に比例するというわけではなく、「フィナステリドが阻害するⅡ型の5αリダクターゼがどの程度存在するのか?」、「フィナステリドの血中濃度がどれくらいの速度で減少するのか?」など、いろいろな要素が関係してきます。
下表の数字はプロペシアの添付文書に記載されている、フィナステリド量と効果・副作用の関係を示したものです。
フィナステリド量 | 0.2㎎ | 1㎎ |
効果 | 54% | 58% |
副作用 | 1.5% | 6.5% |
参照元:医薬品情報データベース プロペシア錠0.2㎎、プロペシア錠1㎎(プロペシア添付文書)
http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00051088.pdf
フィナステリド量が0.2㎎と1㎎の比較において、効果は1㎎の方がわずかに高いというだけですが、副作用については1㎎の場合には0.2㎎の4倍もあることになります。
言い換えるならば、多少のバラツキはあっても8分割によって0.2㎎から1㎎の範囲におさまるようになれば、効果はほとんど同じで副作用リスクは低い状態で利用できるということになります。
プロペシアは世界で初めて発売された経口タイプの育毛剤であり、効果の高いデュタステリドを有効成分とするザガーロが発売されている現在においても根強い人気のある育毛剤です。プロペシアノの効果のメカニズムや副作用などの詳細については以下の関連記事でご紹介させていただいておりますので、そちらを見ていただければと思います。
関連記事:プロペシアはフィナステリドを有効成分とする世界初の飲む育毛剤!






何故プロペシアでなくプロスカーを選ぶのか
プロペシアもプロスカーも同じメルク社が開発した発毛剤ですが、対象となる疾患の人数、実際に利用する人数などで起こる生産量の違いや発売されてからの年数、開発に要した費用などがが大きく異なってきます。
1995年から発売されているプロスカーは、フィナステリドの量が5㎎とプロペシアの5倍量であるにも関わらず、プロペシアよりもかなり安価な医薬品となっています。
両者とも購入ルートによって価格は異なりますが、1錠あたりの価格を比較すると、
- プロスカー:67.5円~265円
- プロペシア:160円~629円
と大きな差があります。
加えて、プロペシアは分割して使用するのが一般的ですので、最安値で考えると、1日当たりの費用は4つに割るなら16.8円、8つに割りなら8.4円ということになります。
高値で購入したとしても、1日当たりの費用は4つに割るなら66.3円、8つに割りなら33.1円ということになりますので、高値で購入したとしてもプロペシアの1日分よりも安い費用でフィナステリドの効果を体感できるということになります。




関連記事:プロペシアはフィナステリドを有効成分とする世界初の飲む育毛剤!
プロスカーの総括
プロスカーは1992年にアメリカのメルク社から発売された前立腺肥大症の治療薬ですが、有効成分であるフィナステリドの副作用として体毛の増加が確認されて、低用量のフィナステリドを配合したプロペシアというAGA治療薬が発売されたという経緯があります。
言い換えるならば、フィナステリドを有効成分とするプロスカーにも発毛効果があることは明白ですが、AGAの治療を目的とする場合副作用リスクを考慮して、1日の服用量がプロペシアレベルまで落とせるように錠剤を分割して飲む方がほとんどのようです。
発毛剤としてのプロスカーの特徴
- フィナステリドを5㎎含むプロスカーを発毛剤として使用する場合、4、5分割して使用する人が多い。
- 価格が低下してきていることもあり、コストパフォーマンスが良い
- 分割使用によって副作用リスクが低下するとともにコストパフォーマンスがさらに良くなる
- 日本では未承認ということもあり、個人輸入代行業を利用したネット通販で購入するしかできません。
副作用リスクを考慮するのであれば、4分割、5分割と言わず、8分割して0.2㎎~1㎎というプロペシアの範囲内におさまるようにしてお試しいただくのがより安全であると思われます。




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