実は私も乳がんのために抗がん剤治療による脱毛を経験しています。

抗がん剤治療による脱毛は、生きるために耐えなくてはいけないことでした。

しかし、中には髪への思いが強く、脱毛がいやで抗がん剤治療を拒否した人も少なくありません。

私は全頭ハゲになりました。たしか、1年間はカツラを使用していました。

もう10年前のことです。

再発組ですが、おかげさまで再発して早や、10年がたち、健康を取り戻しています。

ありがたいことに、髪も脱毛前の状態に戻りました。

このように私に限らず、抗がん剤治療を受ける場合、脱毛するということは受け入れるしかありませんでした。

しかたがない、また、生えるから我慢しなくちゃあと諦めなくてはいけませんでした。

ところが、諦めなくても、我慢しなくてもいい時代がくるかもしれないのです。

今回は、今までは考えられなかった抗がん剤治療による脱毛を予防できるかもしれないといううれしい情報を2つ紹介します。

一つは頭部を冷却して脱毛を抑える方法、もう一つはαリポ酸誘導体を用いて脱毛を抑える方法で脱毛を抑える方法です。

※αリポ酸とは:生命を維持するためのエネルギーを産みだすミトコンドリアの働きをサポートする物質。

参照URL:わかさの秘密「αリポ酸」

http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/a-lipoic-acid/

具体的には強力な抗酸化作用をもち、老化をはじめとし、糖尿病や高血圧などの生活習慣病などの予防に有効な物質とされています。

頭部を冷却して抗がん剤の副作用による脱毛を抑える

発毛するためには、毛母細胞の分裂(増殖)を積極的に促すことが重要です。

そのためには、分裂に必要なエネルギーを供給するためのたくさんの栄養が必要であり、血液を介して毛母細胞まで送り込まなくてはいけません。

また、酸素や栄養物が滞りなく通るようにするために、血管をしっかりと開かせる必要があります。

抗がん剤が体内に入ったとき頭部が冷えていたら、どのような現象が起きるでしょうか?

この頭部冷却法は、血管は温めると広がり冷却すると血管は細くなる(収縮)という性質を活用した方法です。

 

抗がん剤が毛母細胞にまで届かないようにする

抗がん剤を体内に入れる前に頭部を冷やしておくと、血管が収縮し抗がん剤は毛母細胞に到達することができません。

従って、毛母細胞は抗がん剤の影響を受けずにすむので、脱毛は起こりにくくなるといったメカニズムになります。

頭部冷却法はどのように活用されているのでしょうか?

医師やリーブ21が頭部冷却法に取り組んでいる。

アメリカのFDA(食品医薬品局)という、日本でいうと、厚生労働局のような国立機関があります。

2015年、このFDAが乳がん治療で抗がん剤投与の患者さんに頭部冷却法を用いた装置の販売を許可しました。

残念ながら、日本はまだ許可されていません。

しかし、頭部冷却法に着目し、その装備を自費で入手、臨床試験にまでこぎつけた医師がいます。

国立がんセンター中央病院乳腺外科科長:木下貴之氏

乳がんの治療と同じぐらい乳がん患者さんの脱毛について真剣に取り組んでこられた木下氏はヨーロッパなどで頭部冷却法で脱毛が予防できたという症例を知り、自費で取り寄せました。

当病院の倫理審査委員会を通した後、実際に患者さんに用いて臨床試験を行いました。

この方法が日本人に合うか、安全性の問題、使用方法と効果の関連性など、あらゆる評価を検討し、しっかりとした信頼性の高いデータを作成中ということです。

リーブ21

リーブ21は乳がん患者さんの抗がん剤副作用による脱毛を予防するために、頭部冷却法を活用した機器を作成しました。

日本乳がん学会でも展示され、注目を浴びたようです。

現在、臨床試験中ではありますが、自治体などの認識度も高まりFDAがすでに販売を許可しているなどから、安全性などが確認されれば日本の病院にもお目見えする日も近いようです。

 

抗がん剤が脱毛を起こさせる作用機序

がんは放置していたら、がん細胞がものすごい勢いで広がって(増殖)いきますよね。

傷ついた皮膚が治っていくとき、正常であれば、傷ついて欠けた皮膚が周りの皮膚と同じ高さになったところで皮膚細胞の増殖はストップします。

かさぶたもとれ、どこを傷付けたのかわからなくなり、周りの皮膚と一体になります。

ところが、がん細胞は何もしなければ、延々と増殖し続けます。

そのうち、正常な細胞が機能できなくなり、生命のほうが持続できなくってしまうわけですが……。

抗がん剤は、細胞の中でもがん細胞のように激しく増殖するがんに狙いを定め、攻撃するように作られています。

そこで、ピンときた人も多いのでは?

毛母細胞も盛んに増殖するじゃない?と。

そうなんですよね。

発毛機能を持つ毛母細胞は非常に速い分裂(増殖)を繰り返します。

忙しく動く毛母細胞は抗がん剤のいい標的になるわけです。

正常細胞とかがん細胞とかを見分けて攻撃するのではなく、抗がん剤はその細胞の分裂、増殖の速さに目をつけて攻撃していきます。

抗がん剤の攻撃を受けた毛母細胞は発毛機能を失ってしまい、脱毛となるわけです。

 

現在は色んな作用機序の抗がん剤がありますが、乳がんに使用する抗がん剤は増殖スピードの速いがん細胞の働きを抑えるものが多いため、大体の乳がん患者さんは脱毛を経験することになるわけです。

  参照URL:国立がん研究センター がん情報サービス「4.抗がん剤治療の副作用について」

http://ganjoho.jp/public/dia_tre/attention/chemotherapy/about_chemotherapy.html

参照URL:抗がん剤の副作用による脱毛を防ぐ医療機器(リーブ21)

http://search.yahoo.co.jp/r/FOR=kVhrcYtV3ijrfFjw96clvQgpXcUmNayJp3mQrxLUR01DNzELjukBGN.ORvg5_xsO1htun1SofetWUl8R7NK6gRqpOqaE9WTI8_13a7_GOLCB0y_grICdRuAkuoHCsdOIKUrf_22x_DWPaO.bLfkSgVUfCno31r.oCUg6hi44m9D4kwecQZ7meRFbaAHFlIFgyfdUpV0X1NfyHJmMGBMXlz5XKoSyFJN4LowupcpJ4jqVwbmR/_ylt=A2RA0nEalBBZRQQAXE2DTwx.;_ylu=X3oDMTBtdTY1Z3BjBHBvcwMyBHNlYwNzcgRzbGsDdGl0bGU-/SIG=15nf2dkph/EXP=1494359514/**https%3A//www.reve21.co.jp/files/2011/08/20090728.pdf%23search=%27%25E3%2583%25AA%25E3%2583%25BC%25E3%2583%259621%2B%2BKOUGANNZAI%2B%25E8%2584%25B1%25E6%25AF%259B%27

ではもう一つの抗がん剤による脱毛予防法「αリポ酸誘導体の活用」を紹介しましょう。

 

αリポ酸誘導体を使った抗がん剤の副作用による脱毛予防

αリポ酸はサプリメントとして有名です。

それに先駆けて、すでに医薬品の成分として使われていました。

 

専門医や研究者、アデランスの共同研究

国立の大分大学学長の北野正剛氏が中心となって発足されたCIA(癌・炎症と抗酸化)という研究会があります。

この研究会の会員の多くが抗がん剤の研究者で、京都大学、慶応大学など色んな大学から集まって研究が行なわれています。

また、CIA研究会の会員は医師や研究者だけでなく、看護師も含まれています。

その上、αリポ酸誘導体はAGA治療にも有効との期待もあって、アデランスもCIA研究会のサポートに参画しています。

参照URL:基礎医学と臨床医学が一体となった「癌・炎症とαリポ酸研究会」

http://www.aderans.co.jp/corporate/rd/case/hair_restoration09.html

では、αリポ酸誘導体がどのようにして抗がん剤に夜脱毛を予防していくのかを説明しましょう。

この研究を実際に進行させているのは大分大学教授の猿股雅史氏です。猿股氏はCIA研究会のリーダーとしてαリポ酸誘導体の新薬開発に携わっています。

 

αリポ酸誘導体が抗がん剤による脱毛を防ぐ作用機序は?

抗がん剤によって脱毛した頭皮は、赤くなってピリピリとした痛みが出ることが少なくありません。

猿股氏は、数匹のマウスに抗がん剤を注射し脱毛状況を顕微鏡で観察しました。

毛根に存在する毛母細胞辺りに炎症が起き、その周りは繊維化が発生していました。

その原因は3つあるとわかりました。

  1.  抗がん剤が血液を介して毛母細胞や毛乳頭細胞が存在する毛根に行きつきダメージを与えるために、炎症を起こし、赤くなる。
  2. アポトーシスが盛んになり、毛母細胞の寿命がかなり短縮される。
  3. 抗がん剤によって毛母細胞やその周辺の細胞が酸化のダメージを受け、頭皮に炎症がおきアポトーシスが促される。

この3つの原因を取り去るのに、猿股氏の研究グループが開発した強力な抗酸化作用をもつαリポ酸誘導体が有効ではないかと推測しました。

αリポ酸誘導体を数匹のマウスに注射したところ、脱毛がおこらなくなりました。

次に、クリーム状にしたαリポ酸誘導体を皮膚に塗っても、脱毛を抑えることができました。

このことは非常に重要な意味を持ちます。

 

副作用を抑えられるαリポ酸誘導体ロ―ションを開発

頭皮に塗るだけで確実に効果が期待できるということは、副作用を最小限にとどめることを可能にし、安全性も高いローションであると言えます。

アポトーシスとは:細胞を持つ全ての生物の体内におきる細胞死。発生や再生の段階で有害、必要のない細胞を死へと追いやる(細胞の自殺)現象のこと。

たとえば、オタマジャクシがカエルになるために尻尾が取れる現象のこと

 

αリポ酸誘導体はAGA治療にも有効?

AGAと抗がん剤による脱毛の作用機序は異なります。

そのため、αリポ酸誘導体が男性ホルモンに対してどのように働くするかなどを解明していく必要があります。

しかし、抗がん剤による脱毛をアポトーシスを抑えることで防ぐことができたことを考えると、AGAの場合もそれにあてはめることができるかもしれないと猿股氏は考えられています。

その上、5αリダクターゼの活性をαリポ酸誘導体が押さえることができるとわかれば、AGA治療にも有効であるといえるかもしれません。

現在、前述したローションは臨床試験中だそうです。

研究者はアデランスとの共同研究をさらに進めていき、AGA治療に結びつけていくことが次のテーマだとか。

 

まとめ

抗がん剤による脱毛は諦めなければいけないと言われてきました。

それが、諦める必要が無くなるかもしれない研究発表は、辛い抗がん治療を受ける者の気持ちを前向きにしてくれます。

また、それがAGA治療に結びつくかもしれないとなると、薄毛治療の未来を期待したくなりますね。

参照URL:抗がん剤脱毛を抑制するαリポ酸誘導体の研究開発

http://www.aderans.co.jp/corporate/rd/case/hair_restoration10.html