毛髪医学は、今までは遅れをとっていて、未知な部分が多い分野だったのですが、今は皮膚医学の最先端を走っているといっても過言ではありません。

以前から少しずつ進められていた分子生物学による毛髪医学が急速な進歩を遂げ、「抜け毛の仕組み」「男性型脱毛症・円形脱毛症などのメカニズム」が順々に解明されていきました。

解明が進むということは、同時に治療法の研究も進んでいくことにつながります。

2005年からフィナステリド(プロぺシア)という男性型脱毛症内服治療薬が発売されました。男性型脱毛症の原因物質を抑える薬剤です。

残念ながら、ドラッグストアや薬局では買えませんが、病院で医師の診察を受けることで入手できます(まだ保険の適用ではない)。

その後に効果ありと認められたミノキシジルが入った発毛剤(リアップなど)が市場にでてきました。

これから、こちらのサイトでこれらが何故、発毛に効果があるのかから始まって、その他の有益な薬剤、薄毛・抜け毛の予防対策、その他役に立つ情報を満載していきます。

では、毛髪医学の説明に入ります。

後々、プロペシアなどの説明に入った時、非常にわかりやすくなると思うので、毛髪医学の基本的なことを理解していただければと思います。また、毛髪の仕組みを理解することが抜け毛・薄毛の予防対策につながります。

すでに理解している、知っていると言われる方はここを飛ばして、ご興味のある項目に入っていただければと思います。

男性はなぜハゲる?

「髪はの命」

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古代ローマ期の政治家「ブルータス、お前もか」の言葉で有名なシーザーも薄毛に悩んでいたのは結構、有名な話です。シーザーよりもずっと、前に生まれた医学の父とも言われるヒポクラテスは、薄毛に悩む患者さんを鳩のフンで治療したとか。

ただ、すごいなと感じるのは、美意識、ファッションなど、数千年の間にかなりの変遷があったはずなのに、「薄毛」「ハゲ」は現代だけでなく、古代も共通の悩みの種だったんだということ。

女性にとって髪は本当に大事ですが、歴史を紐解いていくと、男性だって「髪はの命」だったのですね。

 

ハゲるということは硬毛から軟毛に変わること

毛髪は表皮から外に飛び出した皮膚の一部です。従って、毛髪のことで受診する部門は、皮膚科となります。

私たちの全身を見ると、硬い毛(硬毛)と軟らかい毛(軟毛)があるのがわかります。

硬毛はさらに長毛と短毛に大別されます。長毛は頭髪、腋毛、陰毛、短毛には眉毛、睫毛、鼻毛に分類されます。

軟毛は硬毛よりは細く短いということで、見た目で両者の違いはわかります。ただ、はっきりとした二つの毛の間に細かな境界線はありません。

実は、硬毛と軟毛は全く別の毛ではないのです。色んな要因で硬毛になったり、軟毛になったりと入れ替わることもあります。

そろそろ、こちらのテーマに近づいてきました。

男性ホルモンも硬毛と軟毛を入れ替える物質です。思春期までは軟毛だったものが、硬毛になって髭が、腋毛が出てきます。成人男性になれば、硬毛だった頭髪が軟毛に少しずつ変化していきます。実はこれが「ハゲる」ということなのです。

 

毛が人間を守ってくれる

よく見ると、毛髪は皮膚の表面を隠すように生えています。実はこのことは人間のような恒温動物にとってとても大事なことなのです。一定の体温でしか生きられない恒温動物ですので、皮膚の表面を隠してくれる毛髪は保温に大変、役にたちます。

また、頭髪の異常なサインが奥に潜んでいる病気を知らせてくれることもあります。

頭髪以外にも、埃、汗が直接、目に入るのを防いでくれる睫毛、鼻呼吸による異物の侵入を阻止する鼻毛、その他、体に生えている毛はムダに生えているわけではないのです。女性はよくムダ毛処理をよくやりますが、美的にはムダ毛かもしれませんが、医学的にはムダ毛ではないのです。

 

毛髪の基礎知識と発毛のメカニズム

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これで、毛髪は決してムダに生えているのではないとわかりました。ここでは発毛剤、育毛剤などを選択する時に、必要な知識を身につけましょう。まずは、毛髪のことを知るために必要な用語を先に説明します。

毛包

毛髪を包む袋のようなものです。

毛髪は頭皮に埋もれている毛根と頭皮の上に飛び出している毛幹とにかれます。毛包は非常に緻密な構造になっている割には、とても小さな組織です。

毛髪が発生する時期

妊娠2カ月までに、つまり、受精卵が胎児になる以前ですが、初めて毛包が発生する原子毛芽が作られます。

人間の皮膚は表皮層と真皮層とに大きく分かれていますが、毛芽は表皮層から真皮層に向かって伸びていき、妊娠6カ月の胎児の頭には全ての毛包が出来上がっています。

毛包の周りには、毛包に毛髪の栄養分や酸素など送り届ける毛細血管が沢山、通っています。毛包の最下部に毛球部があり、そこに毛乳頭があります。その毛乳頭の周辺は、毛母細胞が取り囲んでいます。

毛母細胞

毛細血管からきた栄養分を使って、細胞分裂を繰り返して毛髪を作り、増毛していきます。

これが、赤ちゃんが生まれた時からすでに毛髪が生えている理由です。そして、一歳の誕生日を迎えるまでに頭髪は抜けてしまいます。この頭髪消失期は新しい毛髪と交換するための自然現象で、これも成長の証なのです。

 

髪の毛を輪切りにしてみると

一般的によく言う髪の毛とか毛髪とは、先ほど説明した「毛幹」の部分のことです。今度は、この部分に着目してみましょう。

髪の毛を輪切りにすると、三層に分かれていて、内側が毛髄(モウズイ)、真ん中が毛皮質でこの部分が毛幹、つまり髪の毛の大半を占めています。その髪の毛を毛小皮が取り囲んでいます。

洗髪する時のトリートメント剤の宣伝で「「キューティクル」という言葉が良く出てきますが、この毛小皮のことです。

因みに、内側にある毛髄ですが、欧米人の髪の毛にはこれがほとんど見られないそうです。何故なのかはまだわかっていませんが、髪の毛の太さ、性質などと関係しているのでしょう。

 

ヘアサイクル(毛周期)を知って、毛が抜ける仕組みをまず理解しよう

髪の毛は成長期、退行期、休止期という一連の周期を回りながら、脱毛、発毛を繰り返しています。ただ、髪の毛の本数はどの人も生まれた時から決まっています。

  • 成長期:毛母細胞が精力的に細胞分裂を繰り返してできた髪の毛を上へ上へ押し上げて作っていく時期です。成長期の時期は2~6年です。髪の毛全体の9割が成長期です。
  • 退行期:この期間は約14日間で、毛母細胞の細胞分裂の勢いがなくなり、衰退していく時期です。
  • 休止期:細胞分裂が完全に止まるので、髪の毛が伸びることも無ければ、発毛もない状態です。休止期は3か月程度続き、その後は再び成長期となり、このとき、古い毛は抜けていきます。

この一連のヘアサイクルは一生のうちで15回ぐらい繰り返します。

従って、若い時期はこのサイクルを回りながら、抜け毛と同時に発毛があるので、薄毛など気にする必要がありません。

(健康体の人でも1日に100本~200本は抜けていると言われており、束ごと抜け落ちたりしない限りは、抜け毛の量と薄毛は直接関係しません)

これが加齢の影響で、退行期、休止期にあたる毛が増えてきます。

これが若いうちでも成長期が短くなると、休止期の髪の毛が増えてきます、そのため、硬毛だった髪が軟毛に変わったり、髪の毛が皮膚の表面に出て来なくなるという現象になります。

これが、特に最近、マスコミ等が大騒ぎしている「男性型脱毛症((Androgenetic Alopecia;AGA 以下AGA))」なのです。