このサイトでも皮脂は抜け毛の原因になる?過剰な皮脂で脂漏性脱毛症!という記事が出されていますが、この記事を読む限り皮脂が多すぎて毛穴を詰まらせるというようなことは毛髪にとって悪いことはあっても良さそうなことは無いようにも感じられます。一方で、脂漏性脱毛症のようなケースは特殊で、皮脂が毛穴を詰まらせることが抜け毛につながることは無いという医師も多く、皮脂が多い脂性の人にとっては本当のところはどうなのかというのは心配な部分です。

頭皮の皮脂や皮脂による毛穴の詰まりは薄毛になりやすいというサイトが以前は非常に多かったのですが、最近は、皮脂による毛穴の詰まりと薄毛は関係ないという記事もかなり増えてきました。

先日もテレビでNHKのあさイチで「夫の薄毛」という話題が放送されていましたが、その中で巷で話題になる俗説の一つとして「皮脂が毛穴に詰まると薄毛になる?」といった内容が取り上げられて、答えは「」というように解説されていました。
ヘアケアをしていサロンか美容院から「営業妨害だ!」といったクレームのファックスが来たそうで、慌ててフォローされていたのが笑えました。

皮脂に対する議論は様々ですが、医師の間では皮脂が毛穴に詰まって抜け毛が起こるわけではないというのが定説になっているようですし、育毛ケアを実践しているサロンなどでは余分な皮脂を除くスカルプケアが抜け毛や薄毛対策には大切であるように説明しています。

それに加えて、脂漏性脱毛症という病名があり、治療方法も解説されているというの事実です。

シャンプーの時に毛穴から皮脂を取り出すようなマッサージをすることが重要だと言われますし、何より皮脂が多いと髪がベタツキ、抜け毛が多くなってくるような気がするんですよね
体脂肪がたまりやすい体質の人は、運動量が低下してくるメタボリックシンドロームが気になりだす中高年に皮脂の増加が気になりだします。そして、男性ホルモンが減少してくることによりAGAの初期が訪れ抜け毛が気になりだす時期もちょうど同じころです
皮脂の増加と抜け毛の増加が重なるから、皮脂で毛穴が詰まることで抜け毛が起こるように感じるというわけですね。でも、脂漏性脱毛症というのは皮脂の過剰分泌によって毛穴が皮脂で詰まって起こるのですよね?
脂漏性脱毛症では毛穴に皮脂が詰まった状態というのがスタート地点になるわけですが、それだけで毛髪が抜けてしまうというわけではありません。そのあたりについては、以下の関連記事を読んでいただければ分かると思います

関連記事:皮脂は抜け毛の原因になる?過剰な皮脂で脂漏性脱毛症!
https://ikumouzai-shampoo.com/man-usuge/man-usuge-genninn/sebum-seborrheic-alopecia/

確か、脂漏性脱毛症の治療では外用の抗ヒスタミン剤や抗真菌剤が処方されるはずですので、炎症がキーになっているということですか?
そういうことです。簡単に言えば、皮脂が過剰に分泌されて毛穴が詰まるような状態になる人は頭皮や毛穴を清潔にするようにしなければ抜け毛が増える可能性があるというわけです

 

科学的には「毛穴の詰まりと薄毛は無関係」?!

医師が運営しているサイトやブログでは、「毛穴の詰まりと薄毛は無関係」としているケースが圧倒的に多いというのが現状です。

皮脂と脱毛の関係について論文が紹介されているのは1950年代の話で、男性型脱毛症(AGA)の原因が加齢に伴うテストステロンという男性ホルモンの減少を補うために男性ホルモン活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換することにあることが証明されて以来、研究の対象はDHTの増加を抑えるための方法に傾き、研究者の間では、皮脂が毛穴を詰まらせることが直接的な脱毛の原因という考え方は消えつつあるといっても過言ではありません。

下記の英文が各サイトの中でよく引用されていますので、ご紹介します。

Does Sebum Cause Hair Loss By Blocking Pores On Scalp?

Q: I have been on finasteride for about 7 months. After my latest haircut I can see that my scalp is shiny. I read that is from sebum buildup and it can cause a layer that clogs the growth of hair. I was wondering if this is true and, if so, how can it be treated? — T.C., Philadelphia, PA

A: It is not true. Hair loss is caused by the miniaturizing effects of DHT on the hair follicle, not by blocked pores.

For more on this topic, view our pages on the causes of hair loss in men or the causes of hair loss in women.

引用元:Does Sebum Cause Hair Loss By Blocking Pores?

ところが、当サイトでもご紹介させていただいたように、頻度は低いといえども脂漏性脱毛症という病気があり、過剰な皮脂が毛穴を詰まらせ毛が抜けるという現象そのものは確認されています。

「いったいどちらが正しいのか?」と不思議に思われる方もいるかもしれません。

先に申し上げたように、皮脂が毛穴を詰まらせる現象そのものは直接的に抜け毛につながるのではなく、詰まった皮脂を放置することによって体内の免疫システムによって起こる炎症反応がキーになってくるということです。

AGAになった人の頭皮や髪が皮脂でベタベタしていることが多いことから、「薄毛」に結びつけたくなります
そうですね。毛穴が詰まっていると、それだけでも髪の毛が伸びにくいのではと考えてしまうのかもしれません。でも、人の皮脂はそんなに固いものではなく、伸びてくる髪の毛が皮脂の中を通過することで髪の毛の表面をコーテイングして、保湿する効果もあるくらいです

 

皮脂に付着する汚れが毛穴や頭皮の育毛環境を悪化させる!

皮脂は頭皮や毛髪の表面を皮脂膜によってコーティングして保湿性を高めて、頭皮や毛髪の乾燥を防ぐことになりますので、ある程度の皮脂は育毛にとって必要な成分です。
ただし、頭皮にはマラセチアという真菌が常在菌として住み着いており、皮脂の過剰分泌によって皮脂を餌とするマラセチアが通常以上に増加し、免疫システムが働き過剰に発生しているマラセチアを抑えるために、その場所の炎症反応を促進します。

皮脂に付着する汚れが抜け毛を誘発する!?

毛穴に皮脂が詰まってくるほど皮脂が過剰に分泌されると、最初は毛穴の頭皮付近に溜まっている皮脂の部分にマラセチアが増殖することで炎症が起こりますが、人の皮脂は牛肉や豚肉の脂肪と異なりある程度の流動性があるため放置するとマラセチアによる炎症は毛穴の奥の方へと広がっていきます。
そして、毛穴全体が炎症を起こし毛包内での育毛活動が邪魔されて起こるのが脂漏性脱毛症というわけです。

マラセチアは比較的増殖速度の遅い微生物ですが、毛穴の入り口付近からあふれ出た皮脂に古くなって剥がれ落ちた角質細胞が付着すると皮脂を分解できないはずの頭皮の常在菌、特に、増殖の速い細菌が増殖すると粃糠性脱毛症に発展しますし、頭皮全体に炎症が拡がれば頭皮に脂漏性皮膚炎を発症し頭皮環境が極端に悪化することになり、育毛が妨げられるということも起こるかもしれません。

頭が痒くなるというのは炎症が起こってきている証拠みたいなもので、抜け毛を誘発する危険信号のようなものです。
他人どころか自分でも頭の臭いが気になる状況というのは、かなり頭皮の常在菌全体が異常増殖している状況ですので、通常は炎症も頭皮の深部まで拡がっており、抜け毛が起こるリスクはかなり高くなっていると考えた方が良いように思います。

なるほど、皮脂が毛穴に詰まるからといってそのことが直ぐに抜け毛につながるというわけではなく、それをしっかりケアしないことが抜け毛につながるというわけですね
不衛生、食生活の乱れなどから汚れた皮脂が増えれば、AGAではない薄毛になる可能性は「あり」です。
また、既に脂肪ができやすい状況にあるメタボ体質の方は頭皮が脂っぽくなっている可能性が高くなりますので、不衛生な状態で放置し頭皮環境を悪化させれば、プロペシアなどでAGAの治療ばかりしても薄毛は改善されないと考えられます。
それは要注意ですね。AGAで抜け毛が増えているというのに、それに皮脂汚れによる抜け毛が増えるとなると、薄毛が加速されてしまいます。マッサージしながら毛穴の皮脂を追い出して、しっかりシャンプーをして汚れを取らないと・・・
実は、そのように考えて過激なシャンプーを励行するということが、かえって薄毛を促進するということもあります。過剰な皮脂に対する薄毛対策においては、頭皮や毛穴は正しいケアをすることが最も大切であるあると言われています

 

頭皮に存在する古い皮脂が薄毛を進行させる?

頭皮にはたくさんの毛穴があり、根元にある毛根から新しい毛が産み出されると同時に、新しい皮脂も毛穴に存在する皮脂腺から分泌されています。

毛穴から押し出された皮脂は接触する空気の量が多くなりますし、紫外線の影響もあり、酸化されやすい環境にあります。

酸化分解された皮脂を取り除かずに放置すると様々な微生物が増殖しやすくなり、そこに古い角質細胞やたんぱくよごれが付着すると、ますます微生物が増殖しやすい環境が整っていまいます。
炎症を起こして痒いからといって掻きむしって傷ついた頭皮から栄養豊富な血液が滲み出ると、ありとあらゆる微生物が増殖できる状況が出来上がってしまいます。

古い皮脂と新しい皮脂の境目というのはなかなか難しいのですが、理想的には、酸化された古い皮脂を汚れと共に洗い流し、新しい皮脂が頭皮の表面に染み出し、皮脂膜として頭皮をコーティングするような頭皮ケアが大切になってきます。

そういうことがあるから、育毛シャンプーでは表面にある古い皮脂を洗い流す程度の洗浄力が弱めのアミノ酸系の界面活性剤を使っているわけですね
自分でシャンプーする場合頭皮の状況を見ながら細かい配慮が難しいですし、洗浄成分が確実に洗い流されていないときのために頭皮への刺激の強い界面活性剤を避けている育毛シャンプーが多くなっています
強い硫酸系の界面活性剤を使っているようなシャンプーもありますが、それは止めておいた方が良いということでしょうか?
育毛シャンプーと銘打って販売している以上はそのくらいのことは考えてあるはずです。境目が分からない以上は頭皮に刺激を与えない程度の強い洗浄力で可能な限り皮脂を除き、新しい皮脂が押し出されてくるまでの間だけ頭皮の保湿ケアをするような成分や新しい皮脂膜を作るのを促進するような成分が配合されているのだと思います
なるほど、新しい皮脂膜ができて自力で保湿でいるようになるまでは、人工的な保湿成分があれば問題無いということですね
むしろ、強い界面活性剤で古い皮脂が残らないようにする方が大切であるというのが商品コンセプトということだと思います。皮脂を除きすぎて足りない状況になると皮脂腺からの皮脂の分泌が活発になるということもあります

 

健全な頭皮・髪とは?

皮脂は常に新しい毛と同様に毛穴から上へ押し出されて、皮脂は常に新しい状態というのは頭皮環境が整っていて、頭皮の状態が良好であるという証拠です。

正常なヘアサイクルは良好な頭皮環境から育まれ、良質な毛髪が生えてくることにつながりますし、毛髪とともに皮脂も新旧の入れ替わりが行われているというわけです。

言い換えるならば、皮脂が毛穴を詰まらせることなく新しく入れ替わり、常に頭皮を新鮮な皮脂で潤していることが健全な頭皮と髪の毛を育むことにつながります。

 

毛穴や頭皮の環境を整えるために注意すること

  1. 毛穴の汚れを適度に落とす
    クレンジング剤で優しく頭皮をマッサージして汚れを落としていくのですが、一番、守ってほしいことは皮脂を落とし過ぎないことです。
    皮脂の取り過ぎはバリア機能低下、逆に皮脂の分泌能を上げてしまうなど、不利益なことばかりです。
  2. 食生活は和食中心に
    過度の皮脂分泌を抑えるためには、やはり、脂分を抑えたメニューが良いです。
    和食の食材は栄養バランスに優れ、蒸す・煮るといった、脂不要の料理法が多いのでおすすめです。
    また、髪の毛はケラチンというたん白質でできていることから、たん白質を中心としたメニューにしましょうすることも重要です。
  3. 喫煙や飲酒習慣の見直し
    タバコの成分のニコチンが血管を収縮させ、アルコールは肝臓にダメージを与えます。
    つまり、喫煙は血行不良を引き起こし毛根に必要な栄養素を供給することが難しくなりますし、アルコールの影響で肝臓による食事で摂取された栄養素の代謝も行いにくい、すなわち、育毛に必要な栄養素を造りにくい状態になってしまいます。
  4. 過度なストレスはNGでも適度なストレスはOK
    ストレスというと、体にも髪の毛にも良くないというのが通説ですが、過度のストレスは確かに良くないけれど、適度なストレスは良い意味での刺激となり、健康をもたらすと言われるようになりました。

    参照URL:日本生活習慣病予防協会「適度なストレスは脳の活性化に役立つ」http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2013/002308.php

適度なストレスとはどんなものでしょうか?
障害に立ち向かうポジティブなヤル気が湧いてくるようなストレス、すなわち、努力すれば解決できそうなストレスが適度なストレス、簡単に言えば、解決可能な適度な障害ということです
過剰なストレスがかかり「あぁ、もういいや!」となると過食や拒食になって肥満や栄養失調といった病的な状態を引き起こすこともありますもんね
肥満などの生活習慣病は皮脂の過剰分泌につながりますし、栄養失調となると、育毛に必要な栄養素も足りなくなってしまいます
もうひと頑張りしようとする心の有り様は体にいい影響を与え、それに対して髪にも同じように呼応するというわけですね

 

まとめ

皮脂による毛穴の詰まりだけでは薄毛を起こすことは無さそうですが、だからといって毛穴が皮脂で詰まってしまっても問題無いというわけではありません。
皮脂に汚れが付着したり、皮脂が酸化したり、皮脂を餌に頭皮の常在菌が異常に増殖したりすることによって抜け毛が起こる可能性はあるということです。

年齢的には連動しているかもしれませんが、AGAとは全く異なるメカニズムですので、皮脂汚れからくる炎症とAGAが重なると薄毛は一気に加速することになってしまいます。

健全な頭皮と髪の毛であれば、毛穴の詰まりはなく、頭は常に新しい皮脂に覆われ、髪の毛も順調に発毛します。

抜けてから生えてくるまでに時間がかかったり、生えてきても細い毛だったりすると、毛穴に汚れや古い皮脂が入りこむ可能性は否定できないと考えます。

従って、「毛穴の詰まりと薄毛は無関係」は、健全で何のトラブルもない一般的な場合にあてはめられると考えるのが正しいのかもしれません。