薄毛に関する実しやかに伝えられている話はいくつかありますが、「オナニーのやり過ぎは薄毛になる」というのもその一つです。「そんなアホなことがあるかい!」という人の方が多いようですが、ちょっと心配になってネットで検索する人が多いのもこの都市伝説です。
今回はオナニーが薄毛につながるという都市伝説の根拠となっている理由とそのことが科学的に正しいのか?間違っているのか?を検証してみたいと思います。

このサイトはまじめに薄毛に対する情報や発毛剤・育毛剤、育毛シャンプーなどの情報を科学的に配信していると思っていたのに、タイトルにオナニーと入っているのを見てガッカリしたという人もいるかもしれませんが、「オナニーと薄毛の関係性」について取り上げたことは決して不真面目な話ではありません。

オナニーの語源
「旧約聖書の創世記」に登場するオナンという男性が妊娠を避けるために膣外射精したことが転じて、生殖を目的としない射精のことをオナニーと呼ぶようになったということですが、英語ではマスターベーション(masturbation)、日本語では自慰と呼ばれる行為です。

薄毛に関係する都市伝説の中で最も検索件数が多いと言われているのが「オナニーと薄毛の関係」で、「そんなアホな!」と思いながらも抜け毛が増えてくると「もしかして・・・」と思う人が多いということを意味しているのではないかと思います。

そうですよね!信じてなくても排水口に溜まった抜け毛を見ると不安になる心理は分かります
本当のところがどうなのか知りたいという人が多いということですよね。
嘘か真かはっきりさせることができるのでしょうか?
そもそも、「オナニーのやり過ぎは薄毛になる」というのは理由とともに伝えられているわけではありませんので、理由からして推測するしかありません。もちろん、そのことに関して研究をしている学者も少ないでしょうし、様々な知識を組み合わせて推測するしかできません
それでも良いので、教えてください

 

オナニーで抜け毛が増えると言われる理由は・・・?

そもそも、オナニーも性行為も精液を体外に排出するという点では同じであって、相手の女性がいるのかどうかが異なっているだけです。

従って、精液を体外に排出する行為そのものが抜け毛を促進、すなわち、髪の毛を育てるという活動を邪魔するということにつながるということが「オナニーのやり過ぎは薄毛になる」という都市伝説の根源であり、「禿げている人は絶倫」という都市伝説とも関係しているのかもしれません。

さて、精液の排出が頻繁に行われるときに体の中で薄毛につながるどんなことが起こると考えられているのかをネットで調べてみると、

  • 精液の排出に伴う栄養素の流出
  • 排出された精液の補充
  • 勃起によってテストステロンが減する

などが、挙げられています

調べてみたほとんどのサイトでは、「オナニーのやり過ぎで薄毛になる」というのは間違いという意見が多いようですが、必ずしも頻繁なオナニーと薄毛が関係ないとは言えないようにも思います。

 

オナニーによってテストステロンが減少するわけではない!でも・・・!

男性ホルモンであるテストステロンの働きの一つに「性欲の亢進」があり、テストステロンが増加すると勃起しやすい状態にはなりますが、射精したからと言ってテストステロンが減少するというわけではありません。

男性型脱毛症(AGA)はテストステロンの減少に伴って低下する男性ホルモン活性を補うためにテストステロンを男性ホルモン活性の強いジヒドロテストステロン(DHT)によって引き起こされるわけですから、頻繁に射精をしてもテストステロンが減少しないのであればAGAを発症するということも無いというわけです。

ただし、3週間の禁欲生活によってテストステロン濃度が上昇したという論文もありますので、AGAを発症している方、すなわち、テストステロンのレベルが低いという方は射精を控えるだけで薄毛の進行を食い止めることができる可能性もあるということになります。

参照元:World Journal of Urology ”Endocrine response to masturbation-induced orgasm in healthy men following a 3-week sexual abstinence”

AGAの直接の原因であるテストステロンの減少は射精によるものではなく、別の要因で起こっているというわけですね
そういうことです。髪の毛がフサフサの人がオナニーをやり過ぎたからと言って抜け毛が増える理由にはならないということです。ただし、別の原因で起こっているテストステロンの減少は射精を我慢することで少しは回復する可能性もあるということですので、禁欲生活がAGAの進行を抑える可能性はあるということになります
ちゃんと研究している人がいるのですね
射精と薄毛の関係を調べたわけではなく、あくまで、禁欲がテストステロンの分泌にどのように影響するのかを調べたという研究です(笑)

 

射精によって排出された栄養素の流出は問題になるのか?

射精時に放出される精子を含む液体を精液と呼びますが、言い換えるならば、精漿と呼ばれる液体と精子を含んだ液体が精液ということになります。
一回の射精で放出される精液の量はWHO(世界保健機関)の基準では一回当たり2mL程度であり、短時間で3、4回射精すれば精液の主成分である精嚢分泌液を蓄える精嚢は空になると言われていますが、3日もすれば再び満タンになるということです。

精液の構成

  • 精嚢分泌液:精液の70%を占める液体で、精子が動き回るためのエネルギー源となる果糖が含まれています。
  • 前立腺液:精液の30%を占める液体で、受精卵が着床するまでに分裂を支えるアミノ酸や亜鉛が含まれています。
  • 精子:精巣で造られた精子は精巣上体で射精を待つことになりますが、最大で10億個程度の精子を蓄えることができると考えられています。成分的のほとんどはタンパク質であり、子孫を残すための若干の遺伝子も含まれています。

確かに、精液には細胞の分裂を促進するためのアミノ酸や亜鉛といった栄養素が含まれているようですが、精嚢が空になるまで射精したとしても排出されるアミノ酸や亜鉛の量はほんのわずかです。
髪の毛を育てるために重要であると考えられる亜鉛にしても、10mLの精液に含まれる亜鉛の量は2㎎程度ですので、厚生労働省が推奨している成人男性の1日の亜鉛の推奨摂取量が10㎎であることを考えると、頻繁に射精したからといって髪の毛を育むための亜鉛が不足するということは無さそうです。

参照元:精子のためにできること 精液の成分とは?精液の種類と働き、増やした方がいい理由とは?
ウィッキペディア 精液
免疫力とお腹の関係! 健康御情報サイト 亜鉛
日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要

 

一方、精液に含まれている精子は精原細胞と呼ばれるもととなる細胞が分裂を繰り返し70日ほどかけて精子となりますが、70日という日数からも分かるように精子は常に生産されていることになり、頻繁な射精によって精子が枯渇したとしても、それを補うために体の他の部分の細胞分裂を圧迫するようなことは無さそうです。

ちなみに、1日に生産される精子の数は5,000万個から1億個、一回の射精で1億個から4億個の精子が放出されるということですので、精子の生産が早い人ならば毎日でも満タン状態ということになりますし、通常の人でも3、4日で一回の射精分の精子が蓄えられるということになります。

参照元:ウィッキペディア 精子

このお話から察するに、オナニーのやり過ぎが薄毛につながるということは無いということでよろしいのでしょうか?
育毛に必要な栄養素とAGAの発症につながるDHTの増加という意味では、正常な発毛状態にある人がオナニーのやり過ぎで薄毛になるということはないということになります。
でも、薄毛の人はオナニーを控えることでAGAの進行を抑えられる可能性はあるということですよね
直接的なデータがあるわけではありませんが、3週間の禁欲生活でテストステロンの上昇があったということは、可能性は十分あると思います
ところで、栄養素やホルモンの関係ではオナニーと薄毛は無関係と言われてましたが、他の要因では可能性があるということでしょうか?
頻度や時期にもよりますが、可能性はゼロではないと思っています

 

性欲が強すぎて睡眠不足ということはありませんか?

男性ホルモンであるテストステロンには性欲亢進という働きがあり、テストステロンが多い人はそれだけで性欲が強くなります。

性欲というのは視覚や聴覚などによって更新されるということもありますが、テストステロンの濃度が上昇してくる思春期から20代、30代というのは性欲が強い時期であり、頻繁に射精したという要求が出てくると言われています。
そして、男性の性欲というのは1年間の内で10月に最も多くの精子がつくられて性欲もピークになると言われています。
もちろん、個人差のある話ですので、50代や60代でも衰えることなく性欲が強い人もいますし、若くても異性や性行為に興味が湧かないという淡泊な人もいます。

さて、性欲が旺盛な人が仕事や勉強に忙しい9月や10月という時期に性欲を解消するためにオナニーや性行為に及ぶというわけですが、頻繁に射精するという行為によって睡眠不足や発汗につながるということは容易に想像することができます。

  • 睡眠不足:人を含む動物における睡眠は心身の休息にとって重要な意味があり、日中に活動していた身体を細胞レベルで修復している時間でもありますので、頻繁な性欲の解消によって睡眠不足が起こることによってストレスになるということもありますし、頭皮の新陳代謝にも影響し頭皮環境を悪化させるということもあります。
  • 発汗:性欲が強くなる9月や10月といえばまだまだ暑い時期であり、寝苦しいからついオナニーの頻度が上がるということもあるかもしれません。エアコンが効いた部屋でなければ汗をかくことになり、行為が終わればそのまま寝てしまうようなことになると朝起きるまでに頭皮の常在菌が通常より増殖してフケやかゆみの原因となる可能性があります。

あり余る性欲を解消しなければ、そのことがストレスになり抜け毛につながる可能性が無いわけではありませんが、適度な状態に止めなければ、睡眠不足や発汗によって発毛を妨げるような頭皮環境になってしまう可能性もあるというわけです。

性欲が解消されても疲れが残るほどオナニーをするというのは、確かに、抜け毛が増える原因になりそうな気がします
何事もそうですが、「度を越えないように!」ということを半ば脅かすように戒めるために伝えられたのが「オナニーのやり過ぎは薄毛になる」という都市伝説となったのではないかと想像します
でも、戒めるつもりで言ったことが、「実は・・・」というような可能性があるというのが今回のお話ですね!