火傷や裂傷などでできた傷跡には毛が生えてこない場合があるということを知っている人はそれなりに居られるようですが、様々な傷跡に毛髪が生えなくなる、あるいは、抜けてしまうのを瘢痕性脱毛症(はんこんせいだつもうしょう)と呼びます

頭にく毛が無い人をみたときに、「がんの治療で抜けてしまった?」、「昔、頭部に酷い火傷でも・・・?」と思ってしまう人は多いのではないでしょうか?
見た目からはどちらとも判断できないとは思いますが、ケロイドが見受けられる場合には後者のケースが多いと考えられます。
人の容姿をそのような目で見ることは好ましくありませんし、おすすめできませんが、起こっている現象だけを純粋に科学的に捉えると、そういうことかと思います。

ガン治療で処方される薬の副作用によって毛が抜けてしまう現象とは全く異なり、一般的には「毛穴が死んでしまった」などと表現することが多いようですが、火傷に限らず皮膚が傷ついた際に毛穴の組織そのものが破壊されてしまい毛髪を育てる組織そのものが無くなっているのが瘢痕性脱毛症と呼ばれる症状です。

毛髪を育てる組織そのものが無くなってしまっては、毛が生えるわけがないですよね
頭部に限らず、手足でも、どこでも、毛穴の組織が破壊されてしまえば毛髪は生えなくなり、それが瘢痕性脱毛症と呼ばれます
美容関係で、レーザーを使った永久脱毛という施術があることを聞いたことがありますが、それは瘢痕性脱毛症を逆手に取ったような技術ですか?
そういうことになりますね。瘢痕性脱毛を引き起こす要因というのは、火傷以外にもいろいろあります

 

瘢痕性脱毛症とは?

「瘢痕」というのはウィッキペディアによると「潰瘍、創傷、梗塞による壊死などによって生じた、様々な器官の組織欠損が、肉芽組織の形成を経て、最終的に緻密な膠原線維や結合組織に置き換わる事で修復された状態」ということで、なんだか難しいですが、一言で言えば「傷跡」のことであり、もう少し厳密に言えば、裂傷や火傷などの跡が固く膨らんだ状態のことを言います。

皮膚の瘢痕

  • 成熟瘢痕傷跡:傷が完治して皮膚組織が元に戻っている瘢痕
  • 肥厚性瘢痕:治癒した後の皮膚が赤く盛り上がった状態の瘢痕
  • ケロイド:肥厚性瘢痕が周辺の正常皮膚まで広範囲に広がった瘢痕
  • 瘢痕拘縮:傷跡が縮んで周辺の正常な皮膚を引っ張っている瘢痕

などの状態によって呼び名が異なっています。

瘢痕性脱毛症は外傷などによって毛根が破壊されている脱毛症ですので、火傷や裂傷などで毛根が破壊されているため、言ってしまえば「永久脱毛」のような状態になるのです。

参照元:ウィッキペディア 瘢痕
https://ja.wikipedia.org/wiki/瘢痕

瘢痕性脱毛症の場合、傷や火傷は治癒していてるわけですから脱毛症そのものが拡がっていくということはないのですよね?
皮膚の損傷が完治していれば脱毛症状だけ拡がるということはありません。しかし、傷が治っているかどうかというのは素人が簡単に外観から分かるものではありません
傷が完治するまでは脱毛症も拡がる可能性があるというわけですか?
傷の程度にもよりますが、治療中に起こる感染症などの二次的な因子で瘢痕が拡がっていく可能性がありますので、脱毛症も拡がっていく可能性はあります。そのあたりが瘢痕性脱毛症でケアしなければならないことと関係してきますので、先ずは、瘢痕性脱毛症が起こる原因について詳しく語る必要がありそうです

 

瘢痕性脱毛症が拡大する原因

瘢痕が発生する原因は、先に示したように、裂傷や火傷などの外傷によるものですが、皮膚が損傷を受けるケースは普通の人が考える外部からの物理的な影響だけではなく、肉眼では見えない影響で傷が拡がる、すなわち、瘢痕性脱毛症が拡がる可能性はあるのです。
手足の場合はそんなに大きな問題ではないかもしれませんが、頭部の場合は瘢痕性脱毛症が拡大するのは大きな問題ですし、傷や火傷の程度によっては再び毛が生えてくる可能性が全くないというわけではありませんので、しっかり治療することをおススメします。

瘢痕が発生する原因

  • 切り傷や擦り傷
  • 火がつかなくても細胞が破壊される程度の熱がかかることで起こる損傷
  • 細菌や真菌の感染
  • レントゲンやがんの放射線治療などで使用される放射線 や紫外線

原因によって脱毛の程度も異なり、軽度の事故によるものでは毛根の再生によって一時的な脱毛である場合もありますが、火傷や感染症などのように皮膚の深部にまで到達するような場合には毛が生えなくなるケースの方が多いです。

特に、ある程度治った状態で素人判断で完治したと思って適当に治療を中断してしまうと、先に示した原因の後半にある感染症や紫外線の影響で瘢痕が拡大、すなわち、瘢痕性脱毛症が拡大する恐れもあります。

レントゲンや放射線治療は医療行為としてケアされていますが、紫外線は生活する以上は避けることができません。

健康な皮膚であればその影響は脱毛症まで発展することはないかもしれませんが、傷や皮膚炎などで弱った状態にある皮膚では紫外線の影響ですら毛穴が破壊されるまで悪化することも無いとは言えませんし、感染症を引き起こす引き金になってしまうこともありえます。

 

瘢痕性脱毛症の治療

瘢痕性脱毛症は、原因となる症状があればそれに対する治療を行いますが、毛根が完全に破壊された部分は二度と髪の毛が生えてきません。
既に受けた外傷を元に戻すことはできませんが、治療が不十分で菌による感染症が拡がったり、紫外線などの影響で菌が感染しやすくなる状態になるのを防ぎ、瘢痕性脱毛症が拡がらないようにするために、感染症や皮膚炎を抑える薬品などで治療を行います。

瘢痕性脱毛症はどの部位でも同じことが起こりますが、毛が無くなることで問題となるのは頭部ということで、瘢痕性脱毛症というと毛根が破壊された頭部の脱毛症というイメージになります。
脱毛部分を何とかしたいという場合には、瘢痕部が小さい場合には切除して健康な皮膚を縫い合わせることで瘢痕部を無くすことも可能ですし、頭髪が無くなっても目立つことのない後頭部などの毛髪を毛根ごと移植する自家移植という方法もあるそうです。

さらに、まだまだ実用段階というニュースは聞いておりませんが、最先端の毛髪再生医療技術を用いることが可能になれば、直径5㎜程度の正常な頭皮が残っていれば、外部で培養した頭皮の細胞を注射するだけで毛髪が再生される可能性もあるということです。
資生堂の毛髪再生医療技術のベースになっているのは、カナダにあるレプリセル社と提携することで得られたという同社が10年以上の歳月をかけて研究してきた特許技術だそうです。

参照元:資生堂 ニュースリリース 「資生堂、毛髪再生医療の中核となる 「資生堂細胞加工培養センター」を神戸医療産業都市に開設 」
https://www.shiseidogroup.jp/releimg/2289-j.pdf

頭を怪我して放置するという人はあまりいないと思いますが、頭皮の皮膚炎や頭皮にキビなどが拡がって広範囲な瘢痕性脱毛症が起こってしまうと大変なりそうですね
拡大という意味では、感染症が一番怖いと思います。化膿してしまうと毛根が破壊されてしまうリスクが上がってしまいます
ニキビのケアが悪くて悪化したときにできる顔のクレーターみたいなものですね
お肌のクレーターは治療法も開発されているようですが、毛穴まで復活させるわけではないので、毛髪再生医療の開発が進むのを祈るしかなさそうです
そうなる前に、拡がるのを防ぐ方が良さそうです
頭に限らず、傷や火傷の治療をあまり軽く考えずに、しっかり、治療とケアを考えるべきということです