円形脱毛症で最重度の疾患は、汎溌性円形脱毛症です。頭の毛が全て抜けるだけでなく、眉毛、睫毛をはじめとする体についている全ての毛が抜けていきます。

その様は、脱毛部位が頭のみに限定される「男性型脱毛症(AGA)以上に深刻な脱毛症です。

同じ抜け毛でもAGAとは治療に使用する薬、治療法は異なります。

遺伝性でもない汎溌性円形脱毛症はまだ原因不明な部分があり、男性女性問わず、いつ自分たちに襲ってくるかわからない病気です。

汎溌性円形脱毛症の原因は自己免疫異常

円形脱毛症はコイン状に円形に脱毛するから円形脱毛症と言うのですが、汎溌型の様に重症になると、丸い脱毛斑が大きくなったり、数が増えたりして脱毛部分がつながって体毛のほとんどが無くなってしまうことになるわけです。

円形脱毛症が重症化する原因は自己免疫異常によるものと考えられています。

免疫はウイルスや細菌といった外敵から体を守るためにあるものなのですが、その体を守るために働くリンパ球が突然、悪さをし始めるのです。つまり、リンパ球が毛の成長に重要な細胞などがたくさん入っている毛包を攻撃することで、発症すると言われています。

従って、円形脱毛症はストレスの代名詞と言われていますが、ストレスが無くても、免疫低下で、またはストレスが免疫低下の原因を作ったとも考えることができます。

 

円形脱毛症の治療

欧米の複数の医療機関のデータを集めた結果、脱毛部位が全頭の半分以下であれば、半数の人が元通りになり、脱毛部位が半分以上になると回復率が4%とかなり下がるということが分かりました。15歳以下で発症した場合も回復の見込みはわずかと言われています。

このような状況を踏まえ、脱毛部位が狭い、脱毛斑の数が少ないと言った場合で発症して一年以内であれば、無治療の観察のみでもよく、重症化して汎溌型になれば、これももう治療はせず、当初からカツラを使用することを考えてもいいのではという専門家もいます。

このような意見もある中で、アメリカや日本皮膚科学会では円形脱毛症の診療ガイドラインが作成されています。

 

円形脱毛症の初期治療

円形脱毛症の診療ガイドラインにおける推奨度C₁(十分な治療効果は未明だが、治療方針に加えてもいい)に掲げられているステロイド外用剤、フロジン外用液(塩化カルプロニウム)、ミノキシジル外用剤、セファランチンやグリチロンの内服などで治療します。

また、発症して半年以内で進行が速い場合、ステロイドの内服、点滴が施行されます。

ステロイドは抗炎症作用があります。円形脱毛症を起こしている毛包の周りの細胞は炎症を起こしているため、ステロイド剤は有効と言われています。

この場合、ステロイドの副作用出現に注意しながら行います。

※ミノキシジル外用剤(リアップなど)はAGA治療でも使用します。ミノキシジルはフィナステリドのように男性ホルモンを介したものではなく、血管拡張、血流亢進によって脱毛を改善する薬であり、女性にも使用できることから円形脱毛症の治療にも有効と考えられているようです。(フィナステリドは女性に使用することはできません)

上記に出たいくつかの薬の説明をしましょう。

 

セファランチン

タマサキツヅラフジという植物から採取した成分です。血小板減少症の治療薬としてよく知られています。

セファランチンの効果は色々ありますが、育毛に焦点を当てた場合、AGA治療薬として名高いミノキシジルに似ています。

血管拡張作用や抗アレルギー作用があり、自己免疫疾患でもある円形脱毛症にも有効と考えられています。

副作用もミノキシジルに比べたら、少ないと言えますが、アレルギー体質の人が服用すると、まれにアナフィラキシーショックが出ることもあるので、医師の指導の下で服用されることをおすすめします。

 

グリチロン

グリチロンに含まれている成分はグリチルリチンです。グリチルリチンは甘草の中に含まれています。

この成分にも抗アレルギー作用があり、円形脱毛症に有効とされています。

 

フロジン外用液

血管平滑筋に存在するアセチルコリン受容体似作用して血管拡張、血流増加を促し、毛包を刺激して育毛を促進させます。

 

脱毛範囲が広く、半年以上も改善が見られない場合

円形脱毛症診療ガイドラインの推奨度Bにランクされている局所免疫療法が適用されます。

ステロイド剤の内服や注射を施行することもあります。ステロイドの内服は発毛促進効果がありますが、短期間の使用が基本です。

しかし、短期では、再び再発してしまいます。また、長期に使用すれば、内服薬であれば、ムーンフェイス、糖尿病や骨粗しょう症に罹患しやすくなります。また、ステロイド外用剤を患部に長期に渡って塗布すれば、皮膚が萎縮しやすくなるので、効果がみられない様であれば、使用を中止します。

ステロイド剤の脱毛部位への注射もガイドfラインでは高く評価されています。とはいえ、痛みが強く、副作用の問題もあり、他の治療で無効だった場合に行われることがあるようです。

このようにステロイド剤で一時的に効果がみられても、長期に使うことによる強い副作用で中止をせざるを得ない状況になってしまいます。

そこで、推奨度Bにランクされている「局所免疫療法」の施行を考えることになります。

 

局所免疫療法〜SADBE療法

SADBE:squaric acid dibtylester

これは皮膚に触れることで誰でもかぶれる物質(SADBE)を利用して、円形脱毛症を改善するという治療です。

つまり、脱毛した部位にSADBEを塗布し、わざわざ接触性皮膚炎を発生させます。

何故、このようなことをするのかというと、わざと発生させた皮膚炎の免疫作用が自己免疫疾患の一つと言われる円形脱毛症の免疫作用を抑えるからです。

リンパ球が毛包を攻撃して脱毛をおこしていたわけですが、この機構をSADBEによっておきた皮膚炎が崩壊させるため、リンパ球は毛包を攻撃できなくなるという理論になります。

この治療法は、円形脱毛症の治療に有効であると高く評価されています。ただ、中止すれば再発するため、継続して治療することが必要です。

また、円形脱毛症は保険適用上での治療が可能なのですが、使用する薬品は研究試薬で、健康保険での使用は認められていないので、この治療法は保険適用外で患者さんの実費となります。

副作用の点については、かぶれさせることが治療とはいえ、人によってかぶれ方が異なるので、少量から試していきます。

薬品の濃度の決定や塗り方に熟練した腕が必要であり、必ず専門医の下でこの治療を受けることをおすすめします。

 

円形脱毛症で悩む人はかなり多い

局所免疫療法は現在のところ、日本皮膚科学会ガイドラインの推奨度Bランクで、一番、効果があるとされでいます(Aランクは無し)

改善率は60%以上で、円形脱毛症の治療の中ではトップレベルになります。しかし、40%は局所免疫療法にも効果がないということになります。

そのため、カツラの使用も考えなくてはいけないでしょう。

円形脱毛症の中でも重症の汎発型脱毛症に罹患している人はあまり多くない戸いうことです。しかし、汎発型にまで進行しなくても、脱毛部位が25%を超えている場合、何もしていなければ、外に出ることへの負担は相当大きいものと考えられます。

そのような方のブログがたくさん、あります。

円形脱毛症で悩んでいる人は、かなりの人数になっていることがよくわかります。

円形脱毛症の全てが10円ハゲ数個という認識の人がとても多く見受けられます。この記事が円形脱毛症の本質を知る意味で、役に立ってくれることを願っています。