妊娠・出産は女性にしか体験することのできない人生の一大イベントの一つと呼べる出来事ですが、出産直後からの抜け毛に不安を抱える人も少なくありません。ネットで調べると、個人差はあるものの、ほとんどの人が半年から1年で回復するので心配ないように書かれていますが、理屈がわからなければ不安が解消されないという人もいるかもしれませんし、女性特有の生理や更年期障害が抜け毛に関係するものなのかどうかも含めて検証してみることにしました

新しいものを作り出すときの苦労を「産みの苦しみ」と例えられるほど、陣痛に代表される出産に伴う苦労は女性にしか分からないものですが、そんな苦労をしてようやく新しい命に恵まれたのにもかかわらず、出産直後からの抜け毛が増えてしまう人はたくさんおられます。

出産後の抜け毛というのは科学的な検証は行われておりますが、明確にされているというわけではなく、出産直後に起こる急激な女性ホルモンの変化によるものと認識されています。
出産後に急激な女性ホルモン量の変化が起こり毛髪の成長が止まり休止期に入ってしまうということですが、女性ホルモンのバランスが妊娠前に戻れば髪の毛の状態も元に戻るということで、自然回復するケースがほとんどというわけです。

ところで、女性ホルモンの変化といえば生理の前後、加齢に伴う女性ホルモンの変化による更年期障害など、女性の体内で起こるホルモンンバランスの変化には周期的に起こるものもあれば加齢に伴い経時的に起こるものもあります。
産後の抜け毛も気になりますが、日常的な生理の前後に起こる抜け毛や更年期障害が発生する40歳前後に見られる抜け毛や薄毛も含めて、ホルモンバランスの変化と抜け毛の関係について正しい知識や情報を持っていれば、不安も解消されるかもしれません。

男性の抜け毛に関しては、男性型脱毛症(AGA)を中心に様々な科学的な情報がネットで簡単に入手できるようになっていますが、女性の脱毛症については、なんでもホルモンバランスの変化で片付けられていて、「そうなのか・・・!?」という形で終わっているように感じられます
確かに、女性特有の薄毛や抜け毛については、男性の薄毛や抜けほどには、科学的な検証が行われていないようなイメージがあります。しかし、女性ホルモンと女性の体質や体の変化についても多くの研究成果があります
女性の薄毛や脱毛症にも女性ホルモンの変化が関係するメカニズムがあるということですか?
女性ホルモンの機能は多岐にわたっていますが、毛髪に関しては女性ホルモンのうちのエストロゲンと呼ばれる卵胞ホルモンが毛髪のヘアサイクルに影響を与えているという程度で、明確なメカニズムまで明らかにされているという情報は見つかりませんでした
科学的に証明されていないというだけで、何らかの因果関係はあるという認識でよろしいのでしょうか?
明確になっていないだけに情報が独り歩きしてしまっているような気配もあり、女性ホルモンと抜け毛の関係については情報提供者の考え方次第という部分もあるというのが正直なところです

 

女性ホルモンとは?妊娠・出産のためだけに働くわけではない!

女性ホルモンという言葉から連想されるのはエストロゲンという卵胞ホルモンと呼ばれる物質ですが、エストロゲンが女性らしい肉体形成を促すホルモンであることから、あたかも、女性ホルモンを代表するかのように言われているだけです。

実際には、女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)とゲスターゲンやゲスタージェンと呼ばれる黄体ホルモンの2種類が存在し、エストロゲンは単独で女性特有の体質や体形維持に作用することもあれば、黄体ホルモンと連携して妊娠・出産時の女性の体の維持管理に作用する働きもあります。

卵胞ホルモン:エストロゲンとも呼ばれる卵胞ホルモンは活性の異なるエストロン、エストラジオール、エストリオールの3種類で構成されるステロイドホルモンです。妊娠に備えて子宮内膜を厚くしながら排卵を促すというのが妊娠出産における重要な働きですが、肉体的・精神的な女性らしさにも影響するホルモンであり、骨や皮膚にも影響を与えています。

乳腺細胞の増殖促進、卵巣排卵制御、脂質代謝制御、インスリン作用、血液凝固作用、中枢神経(意識)女性化、皮膚薄化、動脈硬化抑制など

黄体ホルモン:プロゲステロンというステロイドホルモンに代表される黄体ホルモンは受精卵の着床を補助するホルモンです。プロゲステロンが細胞内部に存在するプロゲステロン受容体に結合して遺伝子の発現を変化させることによって以下の作用があるということです。

受精卵の着床、乳腺発達、体温上昇、血糖値の正常化、体脂肪減少、利尿など

参照元:ウィキペディア エストロゲン
ウィキペディア プロゲステロン
テルモ 基礎体温でカラダと話そう 体基礎体温と女性ホルモンのしくみ

妊娠時期は特殊な状況といえるのかもしれませんが、基本的には卵胞ホルモンの分泌量が多い時期は、肉体的にも精神的にも安定して調子のよい時期と言われています。

女性は毎月生理が来て大変そうだし、妊娠したら妊娠したで体調管理も大変みたいだし、動くのも苦労しますよね?!
妊娠中は卵胞ホルモンと黄体ホルモンを上昇させて各細胞の機能を上げるということですが、胎児のために使われる分だけ少なくなってしまう栄養素を効率的に使用するために卵胞ホルモンと黄体ホルモンの作用が利用されるようです
その作用の中に毛髪の成長に関わる部分も含まれているというわけですか?
そうです。そして、出産によって大きく変化する女性ホルモンレベルが産後の抜け毛に大きく影響しているということです

 

分娩性脱毛症の原因は妊娠中に高濃度に維持された女性ホルモンの減少!

女性ホルモンは妊娠しない限り、卵胞ホルモンも黄体ホルモンも一定の周期でその時の状態をベストに保つごとができるようにバランスを保ちながら増減するようになっており、妊娠することによって妊娠状態を維持するために黄体ホルモンの分泌が活発になり、摂取した栄養素が胎児の成長に利用されて減少する分を効率的な代謝で補うために卵胞ホルモンの分泌も活発になります。

すなわち、妊娠中は卵胞ホルモンも黄体ホルモンも高いレベルが維持されているということになり、エストロゲンの骨、皮膚、脳の働きに大きくかかわる機能が精神的・肉体的な女性らしさの維持に重要な働きをしています。
黄体ホルモンは妊娠状態の維持が重要な働きですが、黄体ホルモンの量が増加することによる高体温が胎盤が形成されるまでの長期にわたり維持されることになります。

ちなみに、胎盤が形成されると黄体ホルモンは胎盤から供給されることになり、基礎体温への影響が弱くなりますので、体温は平熱まで低下してくることになります。

妊娠中は女性ホルモンによって肉体的な女性らしさ、すなわち、艶やかな髪の毛が維持されているということですね
そうです。出産によって ホルモンバランスが大きく変化し、それが抜け毛を引き起こす分娩性脱毛症とよばれる女性特有の脱毛症の原因となります

 

出産によって急減する女性ホルモンによっておこる分娩後脱毛症!

胎児と母体の健康状態を維持するために高いレベルが維持されていた女性ホルモンも出産と同時に不要になり、女性ホルモンのレベルは急激に低下することになります。
毛髪に関して言うと、妊娠中は女性ホルモンの働きによって維持されていた毛髪の成長期が出産によって休止期に移行し、毛髪が抜けてしまうのが産後に見られる分娩後脱毛症と呼ばれる女性特有の脱毛症です。

分娩後脱毛症

分娩後脱毛症の原因となる女性ホルモンは毛髪の成長や維持に関係する卵胞ホルモンであるエストロゲンであり、妊娠中に過剰に分泌されているエストロゲンの働きによって維持されていた毛髪が出産によって維持できなくなるというわけです。

分娩後脱毛症は一時的な女性ホルモンの減少に伴う脱毛症ですので、女性ホルモンのバランスが正常に戻れば抜け毛はおさまることになりますが、回復するために必要な期間は個人差が大きいということです。


自然回復するといっても、出産後の体力低下、育児によるストレスや睡眠不足などが影響することで抜け毛が悪化し、円形脱毛症に発展するといったケースもあるそうです。

分娩性脱毛症の原因はエストロゲンの急激な減少にあるということですが、もう一つの女性ホルモンである黄体ホルモンはどうなんですか?
黄体ホルモンについては、現時点で、卵胞ホルモンのように女性の肉体的・精神的な健康維持に直接関係するという情報は無く、そのことがネット情報の錯乱を招いているように思われます

 

黄体ホルモンは分娩性脱毛症に影響するのか?しないのか?

妊娠中は妊娠状態を維持するために黄体ホルモンの分泌も活発化し、胎盤が完成すると胎盤から分泌されているということですが、出産によって胎盤が無くなると黄体ホルモンも急激に減少することになります。

さて、産後の抜け毛に黄体ホルモンの減少が影響していると解説するサイトもありますが、黄体ホルモンの妊娠状態の維持以外の働きは体温上昇、血糖値の正常化、体脂肪減少、利尿などがあるだけで、エストロゲンと異なり、毛髪の成長に直接作用するという科学的根拠はありません。

ただし、分娩後脱毛症の主な原因はエストロゲンであっても、体力低下やストレスが分娩性脱毛症の回復を遅らせたり悪化させたりすることもあるということからも分かるように、黄体ホルモンの急激な減少が代謝の低下を引き起こすことで抜け毛を誘発するということもあるのかもしれません。

分娩後脱毛症に黄体ホルモンが全く関係しないということは無いのかもしれませんが、主原因はエストロゲンの急激な減少によるということですか?
黄体ホルモンの影響を否定する根拠もないわけですから否定はできないと思いますし、血糖値や体脂肪の制御が一時的に乱れることで抜け毛が起こる可能性はあると思います
産後の抜け毛のことがよく分かりました。過剰に意識することが余計に悪そうですね!ところで、女性ホルモンといえば、生理の前後に抜け毛が起こるということもよく聞きますが、これにもエストロゲンが関係しているのでしょうか?

 

生理前の抜け毛の原因は女性ホルモンなのか?

生理の前あるいは生理中に抜け毛が発生することを悩んでいる人も多いようですが、ネットで生理前の抜け毛について検索すると、女性ホルモンの減少が原因で抜け毛が起こるという見解をお持ちの方とそうではないという方もおられるようです。

生理に伴う抜け毛が女性ホルモン、特に、エストロゲンの減少によると考えている方の根拠となっているのが、以下の2点です。

  • エストロゲンの急激な減少は分娩後脱毛症の主な原因である。
  • 生理前から生理中はエストロゲンが減少する。

一見すると論理的であるように感じられます。

確かに、エストロゲンは生理の前に減少し始め生理のときには底レベルになっていますが、分娩後脱毛症が発生するエストロゲンのレベルまで低下するということはありません。
言い換えるならば、生理中のエストロゲンの増減は髪の毛に影響するレベルではなく、生理前後に髪の毛が抜ける原因は他にあるということになります。

私見を申し上げると、排卵から生理に向かってエストロゲンは徐々に減少するのであって生理前に抜け毛が発生することと辻褄が合わず、生理前に抜け毛が発生するケースは別の要因があると考えるのが妥当ではないかと思われます。

排卵が始まると妊娠に備えて黄体ホルモンが増加してきますが、この時期は女性ホルモンのアンバランスによりむくみや肩こりなどの肉体的なトラブルだけでなく、イラつきやうつ症状などの情緒不安定が発生しますので、肉体的・精神的なストレスによって抜け毛が発生すると考える方が妥当であると思われます。

出産によるエストロゲンの減少と月経によるエストロゲンの減少はレベルもメカニズムも違うということでしょうか?
実際のところは分かりませんが、事実だけを考えるとレベルもメカニズムもことなるエストロゲンの減少をもって、分娩後脱毛症と生理前の抜け毛を同じように考えるのは少し無理があるということです
女性にとっての生理は会社を休む人がいるくらいひどい人もいますし、毎月のいこととはいえども、ストレスは半端ないという人も結構いるみたいですよね
生理前や生理中の症状には個人差がありますが、月経前緊張症候群や生理痛といった症状もあるくらい女性にとっては憂鬱なことですので、ストレスで抜け毛が発生したとしてもおかしくないと思います

 

産後に見られる分娩後脱毛症の原因に関する総括

妊娠・出産を終えて我が子を抱く喜びを迎えたほとんどの女性が体験する悩みの種となっているのが、分娩後脱毛症と呼ばれる抜け毛です。
分娩後脱毛症については科学的な根拠は薄いようですが、エストロゲンの濃度が急激に低下することによって発症すると認識されています。

分娩後脱毛症の原因

  • 分娩後脱毛症は女性ホルモンの急激な減少によって起こると考えられている
  • 出産後の急激なエストロゲンの減少によって、エストロゲンの作用によって維持されていた毛髪が休止期に移行する
  • 同時に急減する黄体ホルモンの分娩後脱毛症に対する影響については、科学的根拠が不足している

分娩後脱毛症は、ほとんどの場合ホルモンバランスが正常化することで回復しますが、出産後の体調不良や育児ストレスが分娩後脱毛症を悪化させる可能性もあり、円形脱毛症に発展するケースもあると言われています。

妊娠・出産は女性にとって大きなイベントの一つであり、喜びでもあり苦しみでもあります。
我が子を抱く喜びに浮かれる男性は、この記事を読んで、出産後も続く女性の苦労を理解し奥様の肉体的・精神的なフォローをお願いしたいと思います

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